家電量販店の再編劇で、報道に欠けていたことは相場英雄の時事日想(1/3 ページ)

» 2012年07月26日 08時01分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『震える牛』(小学館)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


さっぱり分からなかった、3.11報道

相場英雄氏と烏賀陽弘道氏の対談を連載中

 →なぜマスコミは“事実”を報じなかったのか(1)

 →新聞社が、「奇跡の一本松」記事を書き続ける理由(2)


 先月と今月、読者にも馴染みの深い家電量販店同士の再編劇が大手メディアの紙面を賑わせたのは記憶に新しい。ビックカメラとコジマ、そして業界最大手ヤマダ電機によるベスト電器買収だ。経済メディアの雄である日本経済新聞のほか、一般紙やテレビのニュース、そして情報番組までが大きく取り上げた話題だが、1つだけ重要な要素が欠落しているのだ。生活と密着する分野だけに、大手メディアが触れなかったポイントに切り込んでみる。

大きすぎた反動減

 まずは一連の再編劇を振り返ってみる。

 6月には業界5位のビックカメラが同7位のコジマを子会社化する方針を発表した。次いで今月、今度は業界最大手ヤマダ電機が同8位のベスト電器を買収する以降を発表した。

 主要メディアの本記では、一連の再編の起爆剤となった要因として「テレビ販売の不振」をあげている。

 家電量販店の店舗内一等地とも言える入口フロアは、かつて薄型テレビの独壇場だった。だが、2009年5月から始まった家電エコポイントが終了、昨年7月には地デジ化に伴う“買い替え特需”が終わった。

 多くの読者がご存じの通り、量販店の一等地の大半はテレビではなく、現在スマートフォンがその主役となっている。ほんの数年前まで利幅の大きかったテレビから売れ筋がスマートフォンに変われば、必然的に量販店の経営はきつくなるのは当たり前だ。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.