中国で接客サービスが向上している、その理由は?ローソンの海外物語(中国編)(2/4 ページ)

» 2012年07月25日 08時01分 公開
[ローソン海外事業研究部,Business Media 誠]

サービスの概念がない中国にローソンが出店

 日本のお店は「お客さまには最高のサービスを」と考えています。一方のお客さまは「お金を払っているのだからそれなりのサービスを受けたい」と考えています。日本には“お客さまは神様です”というフレーズがあるほど、サービスに対する意識は高いと言えるでしょう。

 もともと中国には、「皆が同志」という考え方があります。これは「お互いが平等の立場」という意味ですね。お店において、店員はお金を預かる人、お客さんはお金を払う人と役割がはっきりしていました。これは日本とは大きく違うところですね。

 サービスに対しての意識が全く異なる中国の上海に、ローソンが出店したのは1996年。当初から「For The Customers(お客さまのために)」をスローガンに、接客やサービスの徹底に努めました。

 出店した当時、現地のお店では「いらっしゃいませ」や「ありがとうございました」といった言葉がなく、店員は腕組みをして立ったまま。これに比べるとローソンの接客は新鮮で、「さすが外資系の企業」と評価されていました。

 しかし数年後、他の日本のコンビニチェーンや外資系企業が上海に続々と進出。それまでの競争相手は地元チェーンのみでしたが、外資系企業が優れたサービスを持ち込んできたため、ローソンはピンチに立たされました。

 中国でのサービスも向上し、徐々に“ローソンはサービスが良い”との印象が薄れていきました。試行錯誤しながらも、中国で「おでん」や「ランチスタイル」を確立してきたのに、このままではお客さまが離れていってしまう。どのようにすればいいのか、と悩みました。

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