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正しい答えはデータが教えてくれる――デジタル時代のマーケティングとは?

技術の進歩によってマーケターを取り巻く環境が変わった。顧客に本当に届くメッセージとは何なのか。個人の感覚頼りだったマーケティング施策の「正しい答え」をデータが教えてくれるのだ。

[PR/Business Media 誠]

 マーケティングという用語が示す範囲は多岐にわたっているが、コミュニケーションは重要な分野だ。自社の製品やサービスを熟知し、顧客を理解し、それをどのようなメッセージで、切り口、見せ方で顧客に伝えていくのか。やり方はさまざまだったが、業界や世間に大きな話題を作りだせば、彼らは社内で評価された時代があった。

 ところが今日、マーケターを取り巻く状況は厳しい。商品が売れても「広告が効いたかどうかは分からない」といわれ、売れ行きが悪ければ「マーケティングがなってない」と責められる。経営に対する貢献度を証明できず、予算は削られ、そして途方にくれる。マーケターは利益を生み出すどころか、費用対効果が見込めないコストセンターと見られつつあるのだ。

 だが、光明はある。テクノロジーの進歩に伴い、マーケターの手元には多くのデータが集まり始めた。デジタル時代のマーケターに求められる姿勢とは何か。アドビ システムズ株式会社 マーケティング本部の2人のスペシャリスト、中東孝夫氏(リード ジェネレーション マーケティング スペシャリスト)と、井上慎也氏(デジタル マーケティング スペシャリスト)に、Business Media 誠編集長の吉岡綾乃が聞いた。

クリエイティブを作りながら、同時にマーケティング戦略を考える

吉岡: まず、デジタル時代のマーケターに求められるものとは何でしょうか?

中東孝夫氏 中東孝夫氏(リード ジェネレーション マーケティング スペシャリスト)

中東氏: デジタル時代だからといって、マーケティングそのものに変化はありません。顧客を知り、商品を理解し、その価値を定義して、生み出したものを顧客に届ける。「4P」といわれる製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)といった大事なものに何ら変わりはありません。

 変わったのはテクノロジーです。これは悪いことではありません。マーケターが本来やりたかったこと、やろうとしてもさまざまな制約によってできなかったことが、新たなデジタル技術によってできるようになったのです。

吉岡: 技術の進歩によって何が変わったのでしょうか?

中東氏: 例えば、消費財を売ることを考えてみます。消費者調査をして、製品コンセプトを決め、クリエイティブ(広告用製作物)を作り、代理店にオリエンテーションをして……。各社さまざまなステップがありますが、かつてのやり方では半年から1年くらいかかります。

 特に、製品の魅力をどうやって顧客に伝えていくのかが悩みどころです。メッセージ、見せ方、切り口、どれが顧客にとって一番意味があるのか。さまざまなパターンを想定して消費者インタビューをしたり、広告テストをしたり。でも、それはシミュレーションに過ぎません。実際に販売してみた結果が出るまでには、さらに数カ月かかります。そして、その結果が出るころには、もうすでに次の展開に忙殺されており、経験がデータとしてではなく、感覚として蓄積されるだけでした。

 しかし今なら、これらはデジタルを活用することで劇的に短縮できます。非常に細かい切り口の違い、メッセージを出す順番、言い回し、ビジュアルの見せ方……。サッとWebサイトや広告でクリエイティブを作ってみて実際にやってみる。顧客が存在して、実際にビジネスにつながる場でテストしてみることが可能になったのです。

 そこで得られた結果、例えば「レスポンスの有無」「売れた、売れない」という軸で検証したものをフィードバックして、どんどんサイクルを回していけるようになりました。その結果はリアルなものです。時間もコストも必要となる従来の消費者調査が不要になっただけでなく、ここから「正しい方向」を見つけ出すことができます。

吉岡: そのサイクルはどのくらい早くなったのでしょうか?

中東氏: ケースバイケースですが、マーケティングのPDCAサイクル(計画→実行→評価→改善のサイクル)そのものは週単位、場合によっては日単位で回せるようになりました。やっていることは変わりませんが、そのスピードは別次元ともいえます。言い換えれば調査とクリエイティブの作成が同時進行するような感覚です。作りながら考え、顧客の反応を見ながらよりよいものに作り替えていくのです。

これまでのマーケターが、やりたくてもできなかったこと

吉岡: 先ほど、「マーケターが本来やりたかったことが、新たなデジタル技術によってできるようになった」とおっしゃられていました。それは何でしょうか?

井上慎也氏 井上慎也氏(デジタル マーケティング スペシャリスト)

井上氏: テクノロジーの革新によって、ターゲティング、セグメンテーション、パーソナライズなど顧客一人ひとりに合わせたコミュニケーションが可能になった面もありますが、一番重要な点はやはり顧客の本当のニーズ、レスポンスなどを、マーケターの感覚的なものではなく「データ」で把握、解析、判断できるようになったということです。

吉岡: マーケターはデータに基づいていろいろ決定していると思っていたのですが、これは違うのでしょうか?

井上氏: 以前、私が働いていたP&Gなど、マーケティングに強く、成功している会社などを見てみると、共通しているのはすべてデータに基づいたマーケティングにたどりつきます。顧客の反応というデータを軸に、顧客が求めているものを、顧客の行動からデータで判断することで売上につなげるのです。作り手側が「これでいいだろう」と思った直感的なマーケティングだけに頼っていては、継続した成長は望めません。

 ただ、ここに今年(2012年)、米国アドビ システムズ社がグローバルマーケターを対象に実施したリサーチの中に、「マーケティングコミュニケーションのやり方やWebサイト上の見せ方において、誰もしくは何がプロモーションコンテンツの内容を決めていますか」と尋ねた調査結果があります。

データやパフォーマンスで決めるのは14%

 このように「データやパフォーマンス」という回答は14%に過ぎないことが分かりました。各種データが取れるようになったデジタル時代になっても、いまだに経営者やマーケターの感覚ベースでのマーケティングがほとんどなのです。

データはマーケターの強い味方になり得る

吉岡綾乃 Business Media 誠編集長 吉岡綾乃

吉岡: デジタル時代のマーケターはデータを使いこなさなければいけないということですね?

中東氏: その通りです。そしてデータはマーケターの強い味方になり得ます。BtoBのダイレクトメールを考えてみましょう。売上につなげるためには、メールのタイトルや本文のデザインなど決めなくてはいけない重要なことがたくさんあります。例えば、HTMLメールでおしゃれな感じのメールがいいのか、テキストメールでシンプルなのかいいのか。

 答えはデータが教えてくれます。資料請求や問い合わせがあったかどうかというコンバージョンを調べてみれば、どちらが正解なのか分かります。コンバージョンに差がなければ、お金をかけておしゃれなHTMLメールを作らなくてもいいじゃないですか。

井上氏: 最近ではソーシャルメディアを使ったマーケティング手法が話題です。でも、「その施策の目的は何で、本当に効果があるのかどうか」をデータで語れないと、流行に左右されるだけのマーケターになってしまいます。会社にとって貢献できる、データを武器に攻めるマーケターになってほしいのです。

 社内には「従来のやり方」にこだわる人も多いでしょう。でも、データで語ることができれば、テストなどを通じて、既存のものと新しいものの成果を数字に置き換え、判断や説得ができます。何より経営者層にとっては数字ベースの方が判断しやすい。客観的なデータを基にディスカッションをすることで、社内の意思決定もスムーズになります。

マーケターだからこそ、新たな仮説が立てられる

吉岡: マーケターにとっては、データを把握することが大事だというお話を伺いました。でも、データを計測するには道具が必要ですよね。御社ではデータを把握するために、どのようなツールを展開しているのですか?

井上氏: 代表的なWeb解析を行う「Adobe SiteCatalyst」(アドビ サイトカタリスト)などを始めとする、Webサイトや広告について各種の解析、最適化を支援する製品群で構成する「Adobe Digital Marketing Suite」(アドビ デジタル マーケティング スイート)というソリューションを提供しております。また、これらのソリューションを使い、われわれ自身も自社のデジタルマーケティングで実践を重ねています。

 顧客とのコミュニケーションの状況がどのような状態なのか、どのように売り上げに結び付いているのか。Digital Marketing Suiteを構成する各製品が、連携しながらさまざまな効果をもたらします。全体を俯瞰して状況を把握するとともに、必要とあらば詳細に堀り下げることも可能です。そこから得られた知見と仮説を検証するテストや、個々の顧客に対してより最適なコミュニケーションをパーソナライズすることまで考慮しています。アドビを始め多くの導入企業ではそのデータをマーケターだけでなく、セールス部門のトップや経営層とも共有しています。

 多くの企業は、可視化まではできています。でも大事なのは実はその先なのです。可視化したデータは、チェックして、次のアクションにつなげてこそ初めて意味があるのです。PDCAサイクルの評価(Check)から改善(Action)につなげるためには、さまざまなテストとそこから得られるデータを基に作りながら走っていくことが重要です。

 製品や顧客など、自社のビジネスを熟知するマーケターだからこそ、データから新たな仮説が立てられるはずです。マーケターこそデータのオーナーとなって会社を引っ張っていくべきでしょう。今、マーケターは分岐点にいます。それは、マーケティングという組織がプロフィットセンターになれるかどうか、企業から必要とされるために自分たちを変革できるかどうか、という分岐点といえます。マーケティング部門の存在価値を高めるためにも、自社に対する貢献を数字で示すこと、改善と変革を続けることがますます重要になっていくでしょう。


提供:アドビ システムズ 株式会社
アイティメディア営業企画/制作:Business Media 誠 編集部/掲載内容有効期限:2012年8月31日


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