インタビュー
» 2012年07月24日 08時00分 UPDATE

僕は、だれの真似もしない:なぜ日本メーカーは「イノベーション」ができないのか (1/3)

メーカーがすべきなのは「心の琴線に触れるモノ作り」であって、機能比較やその多さを競うことではない。自信を持って、自分が愛せる製品を世に送り出せ。

[まつもとあつし,Business Media 誠]

前刀禎明(さきとうよしあき)

ソニー、ベイン・アンド・カンパニー、ウォルト・ディズニー・ジャパン、AOLジャパンを経て、1999年に無料ISPを展開するライブドアを創業。2002年にライブドアの民事再生を申し立て、事業をオン・ザ・エッヂに譲渡する。

2004年4月米アップルコンピュータ(当時、現アップル)のマーケティング担当バイスプレジデントに就任。iPod miniの日本国内展開の仕掛け人として大ヒット商品に育てた。2006年7月11日、アップルとアップル日本法人を退職。2007年にリアルディアを創業する。

アップル入社面接で、スティーブ・ジョブズに「日本でMacを売るなら、このような製品が必要だ」と薄型ノートPC「VAIO PCG-X505/SP」をプレゼンし、真っ向から否定されたという逸話を持つ。


僕は、だれの真似もしない 『僕は、だれの真似もしない』(アスコム)

 前刀禎明(さきとうよしあき)氏の経歴はユニークだ。ソニーからコンサルティング会社のベイン・アンド・カンパニー、ディズニー、AOLジャパンを経て、ライブドアを創業するも民事再生、オン・ザ・エッヂに事業譲渡するに至る。

 その後、米アップルのバイスプレジデントと日本法人の代表取締役を兼務し2006年に退任。現在はネット広告・サービス事業を展開するモーションビートの会長を務めながら、みずからリアルディアという会社を立ち上げている。

 前刀氏の来歴は、日本の「ものづくり」産業の衰退、ネットベンチャーブームの挫折と、アップルの日本におけるV字回復をまさに当事者として向き合いながら歩んできたものと言える。

7月24日に初の著書『僕は、だれの真似もしない』(アスコム)を出版した前刀氏だが、そこで述べられているのは、ソニーを反面教師とし、アップルで学び実践したセルフイノベーション(自己革新)の重要性だ。3回にわたり、前刀氏に話を聞く。

バックナンバー:

「イノベーション」に抱く違和感

――2011年、スティーブ・ジョブズ氏が亡くなり、日本でも彼のようなイノベーションを起こすにはどうすれば良いのかと関心が高まりました。ソニーでキャリアをスタートし、後にアップルでジョブズ氏とともに日本市場を開拓した前刀さんはどのように今の状況を見ていますか?

前刀氏: 最近どの会社、組織でも「イノベーション」という言葉を唱えるようになりましたね。ただ私がそこで違和感を覚えるのは、イノベーションとはそもそも他者と比較する、されるものではないということです。

 ソニーのようなメーカーにとって、本当に求められているのは大賀さん(※大賀典雄元社長、2011年4月に故人となった)が繰り返し述べていた「心の琴線に触れるモノづくり」であって、機能の違いやその多さを競うことではなかったはずです。

 これはジョブズが「Insanely Great(狂ったように凄い)」製品を追求し続けたことにも通じます。ソニーもかつては「他社の追随を許さない」というポリシーのもと徹底的に製品を作り込んでいったことが、結果としてイノベーションを起こしていったのです。この点には注意しておく必要があります。

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