裏メニュー「周遊きっぷ」のメリットとデメリット杉山淳一の時事日想(2/4 ページ)

» 2012年07月20日 08時01分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

往復運賃2割引+「ゾーン」乗り放題

 周遊きっぷは、乗り降り可能な地域を指定した「ゾーン券」、出発駅からゾーンの入り口までの片道きっぷ「ゆき券」、ゾーンの出口から出発駅までの「かえり券」の3枚1組で発行される。

 条件は「ゆき券」「かえり券」が片道201キロメートル以上。「ゆき券」「かえり券」は乗車券のみで、特急券・寝台券などは別途必要になる。「ゾーン券」はエリア内の特急・急行の自由席を利用できる。

 このきっぷのオトクなところは、ゾーン内が乗り放題になるほかに、「ゆき券」「かえり券」は2割引き(学割は3割引)になること。JRの往復割引は片道601キロ以上が条件で1割引だが、周遊きっぷなら201キロメートル以上で2割引。その差額とゾーン券の料金を比較すると、周遊きっぷのほうが安い場合がある。

 例えば、東京から大阪へ行く場合は、周遊きっぷ「京阪神ゾーン」を使える。ゾーンの範囲には京都・大阪・神戸・明石・奈良・関西空港がある。旧山陰本線の嵯峨野観光鉄道や、西日本JRバスの一部区間も乗車できる。近畿の旅行や出張にも使えそうだ。

 京阪神ゾーンの「ゾーン券」は3700円。「ゆき券」はゾーン入口の京都まで買えばいい。東京―京都は513.6キロメートルで7980円の2割引で6380円。「かえり券」も同額とすれば、合計で1万6460円となる。

周遊きっぷ「京阪神ゾーン」の乗降自由エリア。入口駅と出口駅は「ゆき券」「かえり券」に接続させる駅

 ふつうにきっぷを買えば、東京―大阪の乗車券は片道8510円だから、往復で1万7020円。東京―大阪間は600キロメートル以下だから往復割引はない。しかし周遊きっぷなら201キロメートル以上で2割引きの条件をクリアできる。往復きっぷより安くて、現地で特急自由席も乗り放題だから、周遊きっぷのほうがトクだ。

東京―新大阪の料金比較(乗車券のみを比較)。「ゆき券」「かえり券」で新幹線を使う場合、割引率が低くなる(後述)。ゾーン内も新幹線を利用できないため、出入口は新大阪になる。5%引きがあるだけマシだけど、ゾーン券の料金を加えると割高になってしまう

 東京にも「東京ゾーン」がある。東京とその近郊の大宮・取手・成田・横浜・久里浜をカバーする。ゾーン券の料金は4000円。これに出発地からの「ゆき券」「かえり券」を組み合わせる。JRで東京へ行く人は検討の価値ありだ。

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