こんなときに困るはず! 鉄道路線のキラキラネーム杉山淳一の時事日想(1/5 ページ)

» 2012年07月13日 08時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。


 私は古い人間だろうか。いや、なんでも古く由緒正しければ良くて、新しいものはダメと決めつけるつもりはない。しかしこれはひどい。考え直してほしい。

 何の話かというと、新潟県に誕生した鉄道会社の会社名と路線名だ。会社名は「えちごトキめき鉄道株式会社」で、路線名が「日本海ひすいライン」と「妙高はねうまライン」である。なんというキラキラネーム。なんという中二病。この会社名を選んだ人たちは、本気で鉄道を経営するつもりなのだろうか。赤字覚悟だし、夢を持ちたいという気持ちは分かるが、もう少し真面目にやれと言いたい。

青線が日本海ひすいライン(北陸本線)、赤線が妙高はねうまライン(信越本線)

「キリキリネーム」と呼びたい

 ご存じない方のために説明すると、キラキラネームとは、最近の子どもの名前に見られる難読名である。中二病とは、中学生くらいの人々の一部が陥る「偏った自己発現」とでも言おうか。どちらもネットスラングのようなもので、常識では考えられない、はたからみて恥ずかしい事例として扱われる。

 「赤ちゃん命名辞典」というサイトによると、キラキラネームの1位は「希空(のあ)」、2位は「青空(せいあ)」。まあ、このあたりは読めなくもない。しかし4位の「永久恋愛(えくれあ)」、5位の「宝冠(てぃあら)」あたりからコメカミがキリキリしてくる。「聖香愛琉(みかえる)」「郷敦(ごうどん)」など、よく思いつくなと感心する。

 それにしても、胃がキリキリしてくる。キラキラネームではない。「キリキリネーム」と呼びたい。

 中二病は病気ではないが、架空の物語世界と現実を混同した思考言動や、意味や良さが分からないくせに大人びた行為を伴う。不良のふりをしたり、魔法が使えると思い込んだり、好きでもないジャズを聴いている(ような会話だけしてみる)、自分は特別な存在だと勘違いするなど。

 それがなぜ「中二」か。これは私の憶測だが、中一時代は新生活への緊張感があり、中二で緊張がとけて「自由な発想」が旺盛になり、中三になると高校受験や就職という現実によって正気に戻るからだろう。ただし中二病は大人もかかる(笑)。いや、治ったと思ったら潜伏していただけで、年をとってから発動してしまう場合があると言えそうだ。

       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.