衝動買いをしなくなっている消費者(1/2 ページ)

» 2012年07月11日 08時00分 公開
[松尾順,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:松尾順(まつお・じゅん)

早稲田大学商学部卒業、旅行会社の営業(添乗員兼)に始まり、リサーチ会社、シンクタンク、広告会社、ネットベンチャー、システム開発会社などを経験。2001年、(有)シャープマインド設立。現在、「マインドリーディング」というコンセプトの元、マーケティングと心理学の融合に取り組んでいる。また、熊本大学大学院(修士課程)にて、「インストラクショナルデザイン」を研究中。


 従来、主婦のみなさんが「今夜作るメニューを何にするか」「どの食材を購入するか」は、スーパーマーケットなどに買い物に出かけ、店頭で食材や特売品をあれこれ品定めしながら決めていると言われてきました。実際、事前に購入するものを決めて行かない、いわゆる「非計画購買」の割合は、およそ7〜8割という調査結果がこれまでは得られていました。

 ところが、近年は逆にメニューや購入品目を事前に決めてからお店にやってくる「計画購買」をする主婦が増加傾向にあるようです。スーパーの販売促進支援の「アットテーブル」が、毎年行っている全国主婦1万人調査によれば、「事前にメニューを決めている」という主婦の割合は、全体で6割、20〜30代だけでみると、7割にのぼるのだそうです。なお、60代以上の主婦は相変わらず、店頭でメニューを決める割合が高くなっています。

 このように、若い主婦を中心として、店頭での衝動買いが減っているという現実は、店舗での販売促進活動の効果の低下をもたらす可能性があり、マーケターとしては見逃せない消費行動の変化です。

 では、なぜ計画購買が増えているのでしょうか? 手軽に迅速に情報収集できるネットの普及が、この背景にあることは恐らく間違いありません。また、働く主婦が増え、日々忙しい中、買い物にあてる時間が十分にないという社会環境の変化もあるでしょう。

 PC、あるいはスマホを使ってネットで検索すれば、さまざまな店舗の品揃え、特売情報がすぐに比較できます。どんな献立にするかも、クックパッドを始めとしたさまざまなレシピサイトがあります。

 つまり、事前に十分な情報が入手可能なので、お店に行く前に購入品目を決めることが簡単にでき、おかげで店頭でどれを買うか迷わずに済むので、買い物時間が短縮できるというわけです。

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