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» 2012年07月06日 08時00分 UPDATE

古田雄介の死とインターネット:死んだら発動する“お別れサービス”は何年先まで保証する? (1/3)

自分が死んだら、指定したアドレスにお別れメールを送ったり、自分のブログにメッセージを載せたりできる“お別れサービス”がある。それらがどのように運用されているか調べてみた。

[古田雄介,Business Media 誠]

著者プロフィール:古田雄介(ふるた・ゆうすけ)

1977年生まれのフリーランスライター。自ブログは「古田雄介のブログ」。


 古田雄介の死とインターネット第1回「なぜ飯島愛の公式ブログはちゃんと管理されているのか?」で書いたように、ある日自分が死んだら、ブログやSNSはそのままの状態で残り続ける可能性が高い。そのあたりの事情は会員サイトのIDもほぼ同じ。遺族であっても、自分以外の人間がそれらのアカウント情報をすべて取得するのは至難の業だし、すべてのアカウントに気付ける保障もない。生前ネットに残したあらゆるものは、糸の切れた凧(たこ)のような浮遊物になる可能性が高いのだ。

 不本意な浮遊物を残さず、きれいに死にたいなら、生前から自分で準備しておくのが確実だ。遺書やエンディングノートなどにIDとパスワード、希望する処理を一覧でしたためておいたり、自分の死後にアカウントの譲渡やメッセージの更新を代行してくれる“お別れサービス”を利用したりするのがいい。

 ネットのコンテンツをメインで扱うお別れサービスは、2010年前後にスタートしたものが多い。特に海外ではユーザーの個人情報を厳密に管理し、死後に指定した人物に譲渡する「Legacy Locker」や、指定したSNSに事前に用意したメッセージを表示したりできる「LifeEnsured」など、知名度の高いサービスも増えている。ユーザーのニーズも高まっている様子で、Facebookに死後のメッセージを表示するアプリ「if I die」は、2012年中の100万ユーザー達成を公式の目標に掲げるなど、勢いに乗っている。

ah_huruta2.jpg Legacy Locker。各種サイトのIDやメールアドレスなどを厳重に管理し、ユーザーが死亡した際は指定した2人以上の受取人に開放する。機能が限定される無料トライアルのほか、年間更新と永久契約の有料コースを用意しており、日本からも利用できる。

 一方、日本発のサービスは黎明期と言える状況で、定番的な存在はまだ見当たらない。それでも上手に利用すれば“理想の死後”を形作る貴重なパーツになりえるだろう。

 ただし、本気で利用するなら、何年先、何十年先でも機能している信頼性がなくては困る。そして、現在はどれだけのユーザーがどのように利用しているのか。「ラストメール」を運営するビズリードと「ウィログ」を提供するザクロ。日本国内向けに2010年からお別れサービスを提供しているこの2社に、現状と今後の展望をうかがった。

2009年から2011年にリリースされた“お別れサービス”の例

タイプ サービス名 概要 提供者 リリース
権利管理 Legacy Locker 一定の条件を満たすと、アカウント情報などを、指定した家族や友人に譲渡する。 Legacy Locker(米) 2009年3月
Facebook専用 if I die 一定の条件を満たすと、Facebookページに自作のお別れメッセージをアップする。 Wilook(イスラエル) 2010年頃
メール送信 ラストメール 一定の条件を満たすと、指定したアドレスにお別れメールを送信する。 ビズリード(日) 2010年2月
メッセージ公開 ウィログ 一定の条件を満たすと、登録したブログにお別れメッセージを表示する。 ザクロ(日) 2010年10月
権利管理 LifeEnsured 一定の条件を満たすと、IDの削除やメッセージの更新など、指定した処理を実行する。 LifeEnsured(米) 2011年4月
メール送信 PassMyWill 一定の条件を満たすと、SNSのIDなどの情報を所定のアドレスにメールする。 PassMyWill.com(露) 2011年12月
※ユーザーの死亡を確認するための「一定の条件」は、定期的に送られるメールへの返信や登録したSNSの更新、死亡診断書の提示など、サービスによってさまざまな手法がとられる。
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