振り込め詐欺にひっかかる奈良県民、なぜ?(1/4 ページ)

» 2012年07月05日 19時24分 公開
[産経新聞]

 奈良県内で振り込め詐欺被害が止まらない。同県では名門校OBの実家を狙ったオレオレ詐欺が頻発し、今年は4月の時点で、昨年1年間の被害総額を上回った。その後も架空請求詐欺などの手口が横行。1人で約4285万円をだまし取られるケースもあり、被害は28件、被害総額は1億円を超えた。このため、県は異例の「振り込め詐欺多発警報」を発令し、奈良県警も詐欺を見抜いた主婦による異例の記者会見を設定するなど次々と手を打っているのだが……。(山本考志、杉侑里香)

初の「警報」

 奈良県内では今年4月以降、名門大学への合格者を多く輩出する県立奈良高校などのOBを名乗り、家族に「女性を妊娠させてしまった」などと電話し、示談金名目などで現金をだまし取る振り込め詐欺が頻発した。

 被害は卒業アルバムに電話番号などが記載されていた昭和62年〜平成元年卒OBの実家に集中しており、学校側も同窓会などを通じて、被害防止のために家族に連絡を取るよう呼び掛けるなど警戒を強めている。

 こうした異例の事態に、荒井正吾県知事は5月9日付で、都道府県としては初の「振り込め詐欺多発警報」を発令。現金自動預払機(ATM)を置く金融機関のほか、高齢者が集まる病院や薬局などで注意喚起していく方針を示した。

 総務省統計局の平成21年の「全国消費実態調査」によると、奈良県内の2人以上の世帯の貯蓄現在高は平均約1899万円と全国で2番目に高く、荒井知事も警報発令日の会見では「奈良がターゲットにされている」と危機感を募らせていた。

会見で振り込め詐欺未遂の被害体験を振り返る奈良県内の主婦
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