「ごはんに合う」を訴求するお茶のCMが増えているのはなぜ?(2/2 ページ)

» 2012年07月05日 12時55分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]
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 上述のように、現在の無糖茶市場で過半数のシェアを持つのが緑茶飲料。しかしここ数年は頭打ちの状況で、緑茶飲料の販売量は微減している。そのような状況下、各社はそれぞれにキャンペーンに力を入れているが、2012年の傾向と言えるものが2つある。

王者・緑茶に“非緑茶”が挑む

 2012年の傾向、一つめはシェア過半数を占める緑茶に挑むような形で、緑茶以外の無糖茶飲料の新商品が発売されたり、リニューアルされたりする動きだ。

 すでに人気が根付いているブレンド茶のほか、目新しい無糖茶も登場している。日本コカ・コーラは2月に「太陽のマテ茶」を(参照記事)、ポッカは5月に「やすらぎ気分のコーン茶」(参照リンク)を発売した。マテ茶はモチノキ科のマテの葉や枝を乾燥し、粉砕・精製したものが原料で、南米諸国ではなじみのあるお茶。コーン茶は焙煎したとうもろこしのお茶で、韓国で親しまれているお茶だ。いずれも日本人には目新しい「非緑茶」といえる。

日本コカ・コーラ「太陽のマテ茶」。南米諸国などで親しまれている無糖茶だ
ポッカ「やすらぎ気分のコーン茶」。ターゲットである20〜30代女性に人気がある優香さんをCMに起用

「ごはんに合うお茶」の訴求

 無糖茶飲料のもう1つの流れが「ごはんに合うお茶」という切り口での商品訴求だ。サントリーは4月、「伊右衛門」ラインアップの新商品として「ご飯がおいしいお茶」を発売。もともとお弁当やおにぎりなど、ごはんと一緒に伊右衛門を買っていた人は多いはずだが、より強くごはんとの組み合わせをうたった。

 背景としては、弁当や惣菜といった中食産業が好調なことが挙げられる。手作りの弁当を持参したり、昼食としてコンビニなどで弁当を買ってきたりする人が増えている。コンビニ弁当といっしょに買われることが多いのが、緑茶やブレンド茶、烏龍茶といった無糖茶飲料である(参照記事)。「ごはんに合う」キャンペーンは、ここでのシェア拡大を狙うものと言っていい。

伊右衛門 ご飯がおいしいお茶。宮沢りえさんを起用
キリンビバレッジの特設サイト「おにぎり×おいしい無糖」

 「ごはんに合う」を切り口にしたプロモーションは、無糖タイプの紅茶飲料にも広がっている。紅茶というと洋菓子に合う飲み物というイメージが強いが、「無糖タイプなら食事にも合う」ことを訴求しているのが、大塚食品の「ジャワティストレート」(参照記事)や、キリンビバレッジの「午後の紅茶 おいしい無糖」だ。

 午後の紅茶 おいしい無糖では、上述の蒼井優さん、亀梨和也さんのCMのほかにも、「おにぎり×おいしい無糖」という特設サイトを設置。10万人におにぎりとともに同商品を飲んでもらい、おにぎりとの相性をたずねるというキャンペーンを行っている。

 キリンビバレッジのマーケティング担当者によれば、おにぎりと紅茶を使ったCMのオンエアと並行して、3月27日、4月1日、6月16日の3回にわたり、店頭などで「おにぎり+紅茶」の体験コーナーに11万人を呼び寄せるというキャンペーンを実施。その結果、5月には前年比118%、6月には前年比138%で売り上げが伸び、2012年1〜6月の累計で170万ケースを売り上げたそうだ(同110%)。「ごはんに合う無糖茶」という訴求は、実際に効果があるといえるだろう。

 街を歩いていてもテレビを見ていても、飲料関連の広告はよく見かけるもの。「ごはんに合う」ことをうたった広告を見かけたら、「今年から始まったキャンペーンだな」と思ってよさそうだ。

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