「アラブの春」と「AKB48」に見る、影響力の変化ソーシャルインフルエンス(2/3 ページ)

» 2012年07月05日 08時00分 公開
[Business Media 誠]

影響力の範囲

 次に「影響力の範囲」を見てみよう。アラブの春では、チュニジアで起こった「ジャスミン革命」が、その後アラブ全域へ拡大していく。この範囲拡大にソーシャルメディアが担った役割はもちろん大きいが、それだけではない。そこには「中東のCNN」として有名な報道機関「アルジャジーラ」の存在がある。

 24時間、カタールから英語・アラビア語で報道するアルジャジーラはアラブのインテリ層に影響力を持つ。その中間層がソーシャルメディアを駆使してデモに人々を動員する。それをアルジャジーラが報道する……というように、いわばマスコミとソーシャルメディアのコラボレーションによって広範囲への影響が実現されていったのだ。

 一方のAKB48では、ソーシャルメディアに加えてリアルな場での影響範囲拡大装置があった。それが「握手会」だ。従来のアイドルの握手会とは実にケタが2つ違うほどのスケールで展開され、ソーシャルメディアと連動してクチコミの拡散範囲を広める。そして、さらに用意されたのがお馴染みの「選抜総選挙」だ。選挙というフォーマットはワイドショーなどと相性がよく、これが従来のアイドルにはないカタチでのマスコミ報道の流れを生む。こうした複合的な仕組みによって、AKB48はコアファンから日本全体へと影響範囲を広めていったのだ。

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