「3つ目が日本人に海外で働く選択肢を提供すること。残念なことにアジア企業も欧米企業も日本人を雇いませんかと尋ねると、『まさか』という返事。英語もできない人がアジアや欧米で活躍できるはずがないんです」
南さんは新たにアジア版ビズリーチ「RegionUP」を立ち上げるという。「10万ドル以上のジョブを探そう」という英語サイトで、ヘッドハンターは100社(人)以上予定している。このサービスが実現すれば、求職情報も香港やシンガポールなどアジアに広がる。
「日本人だけのデータベースだと(世界は)誰も見向きもしない。アジアの求職者の中に日本人もいる、という時代をつくりたい」
戦後の日本を振り返ろう。当時、国の再建のため2つの戦略をたてた。まず製造業に特化すること。製造業に大切なのは技術の内部留保である。そのためには技術=人材を流出させないほうがいい。それが終身雇用と年功序列制度。だが今それは崩れた。サービス業中心の時代、人材はグローバルに動いている。
「日本の中で完結するのはラク。でもそれでいいの? そうじゃないと考えたパイオニアもいたんです」
パイオニアたちが鎖国を変えた歴史がある。
野球でいえば、トルネード投法の野茂英雄である。日本球界を任意引退までして、1995年にドジャースに入団。13勝をあげて日本人でも通用することを示した。彼の後にイチローや松井らが続いた。
ではサッカーは誰か?
「中田ヒデじゃないですよ。キングカズ、三浦知良ですよ」
カズも野茂と同じころ、1994年にセリエAのジェノアに移籍。1得点、21試合出場に留まったが、日本人が欧州で通用することを知らしめた。彼が起点となり今の海外移籍市場ができた。
ビジネス界でも盛田昭夫、本田宗一郎というパイオニアがいた。日本が世界で羨望された時代があった。彼らは「黒い目でも海外でリーダーになる」範を示した。実はそれは、南さん自身が体現する“Swimmy”なる生き方なのである。
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