土肥:古賀さん、HUDは「3メートル先」に映像を映し出すように設定されました。なぜパイオニアは「3メートル先」にされたのでしょうか?
古賀:実は、最初は「1.5メートル」で設定しました。しかし「これでは近すぎる」「もっと遠くに設定したほうがいいよ」といった声がありました。また「3メートルよりも、もっと遠いほうがいいよ」といった意見もありました。
もちろん遠くにあるほうがいいのですが、もしそれを実現しようとすればHUDを大きくしなければいけません。クルマの中という空間は物理的な限界があるので、バランスを考慮して「3メートル」先で見えるように設定しました。
土肥:北里大学の先生におうかがいします。実証実験に携われて、このHUDについてどのように思われましたか? 従来のカーナビに比べ、視点を移動させる時間や焦点を合わせる時間は半減できることが分かりました。しかしこれまでにないモノなので、不安に感じる部分などはなかったでしょうか?
魚里:クルマを運転していて、HUDを見ようとすると、どうしても目線が上になります。人間の目線は上にすると、遠くを見るのに適しているんですよ。逆に、下にすると近くを見るのに適している。これは人間の目が進化してきた結果なんですね。
例えば空を見ようとすれば、目線は開きやすく機能されています。その状態で、近くのモノを見ようとすれば、ピント合わせに時間がかかってしまう。
もちろんコンバイナーの位置が高すぎるとは思っていません。ただ人間の目というのは、上を見るとき、下を見るとき、によって“得て不得手”があることを認識しておいたほうがいいでしょう。
川守田:人の目というのはひとつのモノに集中してしまうと、他の情報をシャットアウトしようとします。例えば、クルマを運転していて「看板を見なきゃ、見なきゃ」と探してしまうことってありますよね? 目が悪ければ、その時間が長くなってしまう。その結果、事故を引き起こしてしまうかもれしれない。
なのでHUDを使用するときには、自分の目の度数をしっかり合わせてほしいですね。メガネやコンタクトレンズをしているので大丈夫……と思うのではなく、まず自分の目の度数はどのくらいなのか、認識することが必要です。
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