なぜ映像が浮かび上がるの? 近未来のカーナビが登場した仕事をしたら“未来”が見えてきた(前編)(2/5 ページ)

» 2012年07月04日 08時02分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

古賀:まずナビ情報をレーザーを使って、前方に映し出します。クルマのサンバイザー部に取り付けたプラスチックの板はコンバイナーと呼ばれるもの。このコンバイナーに反射された映像が、外の風景と重なり合って見えているんですよ。

映像がフロントガラスの先に浮かび上がって見える仕組み

土肥:でも、映像はフロントガラスの先に浮かび上がって見えています。どうしてですか?

古賀:コンバイナーに映像が映って、その情報をそのまま見ようとすれば危ないですよね。運転するときには遠くを見ているのに、ナビ情報が50センチのところに映し出されていれば、そのたびに目のピントを合わせなければいけません。そうなれば目には相当の負担がかかりまし、時間がかかります。

 そこでコンバイナーを凹面構造にして、虚像が遠くに見えるようにしました。ドライバー席からは3メートル先の37インチ相当の虚像を見ていることになりますね。

 なぜ映像がフロントガラスの先に浮かびあがるかといえば、夜の電車の窓を想像してください。自分が窓の表面に映るのではなく、その先にいるように見えますよね。

土肥:確かに。

古賀:電車の窓にピントを合わせても自分の姿は、ハッキリとは見えません。自分の姿が見えているのは、その先にいる自分なのです。映像がフロントガラスの先に浮かびあがるのは、この現象と同じなんですよ。

土肥:安全に走行できるために「3メートル、37インチ相当」と設定されたようですが、この数字に根拠はあるのでしょうか? このHUDはこれまでにないモノなので、「安全性は大丈夫なの?」と感じている人も多いかと思います。

古賀:社内で何度も何度も実験を行いました。ただそれだけでは不十分なので、医学的見地からも検証をお願いしました。

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