「影響の与え方が変わった」というが、何がどう変わったのか新連載・ソーシャルインフルエンス(2/4 ページ)

» 2012年07月03日 08時01分 公開
[Business Media 誠]

 いろいろ、ありましたね。ホントに。――そう、本当にいろいろな変化があった。従来の考え方とかやり方に慣れていた人たちは、まず変化を認めることから始めなきゃいけなかった。勉強もしなきゃだし、けっこう恥もかいた。新しい発想や手法を持ち込む人たちは、エキサイティングな興奮を味わいながら、同時に挑戦者としての苦渋もなめたりした。でもみんな、変化のダイナミズムだけは感じていた。マーケティングコミュニケーションは変わっていく――それが共通認識だった。

 けれど、そろそろこのあたりで、「変わったことの本質」って何なのか、一度立ち止まって、それをしっかり考えたほうがいいと思うのだ。メディアの進化、消費者心理の変化、手法の多様化。いろんなことが変わったけど、それはあくまで「ピースバイピース」の話じゃないかと思う。その「積み上げ」がコトの本質なのか? いや、違うでしょう。僕たちは今こそ、結果的に起こった「変化の本質」を定義したほうがいいんじゃないかと思う。定義し、整理して、これからどう役立てるべきかを具体的に提示する。それが、本書で伝えたいことの全てだ。

 さて、じゃあ「変わったことの本質」とは何か。それはこういうことだ。

 「影響の与え方」が変わったのだ。

 僕たちは、いつも「影響」というものを受けている。毎日の生活の中で、数限りない影響を受けている。そしてその影響の内容やレベルによって、実際に動いたり、動かなかったりする。企業が行うマーケティング活動――広告やPRやプロモーションも、コトのつまりは、消費者に何らかの影響を与えることを意図している。効果が出るも出ないも、目的が達成されたのかどうかも、結局はこの「影響力の行使」がカギを握っている。業界の若手が使いこなすソーシャルテクノロジー、最新の消費者調査報告、それら目の前のひとつひとつに目を奪われてはいけない。本質は、「影響の与え方」の変化にある。僕はまず、何よりもこの点を強調しておきたい。

 さあ、では「影響の与え方」が変わったっていうのは、具体的にはどういうことなのか? 話を進めていこう。

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