どう変わる? 大阪の鉄道網「なにわ筋線」杉山淳一の時事日想(3/5 ページ)

» 2012年06月29日 08時02分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

新大阪―大阪都心―関空を結ぶタテ軸となる

 大阪市、大阪府が関与する鉄道構想では、古くから「なにわ筋線」が登場する。この路線は2004年の近畿地方交通審議会「答申第8号」でも「京阪神圏において、中長期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」のひとつに挙げられている。答申8号で示されたルートは、新大阪―北梅田―玉江橋―堀江―JR難波駅および堀江―南海汐見橋駅を結ぶ計画だった。

 「なにわ筋線」構想の歴史は古く、1982年に大阪市と大阪府が共同で計画している。当時は新大阪駅と難波地区を結ぶという意味合いが大きく、JRを大阪環状線内部に直通させる意向があったのだろう。また、南海線とは岸里玉出駅で接続する計画だった。これが「答申8号」では汐見橋線と接続するという案に落ち着いた。

 南海電鉄としては、汐見橋線を活性化し、新大阪へ乗り入れるという良案だ。汐見橋線は通称で、本来は大阪と高野山を結ぶ高野線の一部である。しかし南海はメインターミナルのなんば駅に南海線と高野線の列車を集中させた。このため、汐見橋線は閑散とし「都会の中のローカル線」になっている。

 大阪府と大阪市の財政難から、なにわ筋線の計画は滞っていた。この計画が再浮上したきっかけは関西国際空港の活性化策だ。2009年4月に国土交通省がJR西日本、南海電気鉄道、大阪府、大阪市によるトップ会議を招集した。国が建設費の3分の1を補助する方針で、背景には当時の橋下知事の「関空へのアクセスに必要」という意向があった。なにわ筋線の目的に、新大阪―大阪都心―関空アクセスが加わった形だ。

「なにわ筋線」構想(出典:大阪府)

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