原監督も被害にあった「脅迫ビジネス」、その対策は?窪田順生の時事日想(1/3 ページ)

» 2012年06月26日 08時01分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


 最近、脅迫事件が多い。

 巨人の原辰徳監督が24年前に関係をもった女性のことで恐喝されて1億円も支払っていたことが明らかになったと思ったら、17年間逃亡していたオウム真理教の高橋克也容疑者が、菊地直子と同居していた“内縁の夫”から「カネを脅しとられた」と証言した(関連記事)

 オウムの逃亡犯はさておき、原監督は払った相手が、元暴力団関係者だと報じられているせいで、辞任しろだなんだと叩かれている。

 「巨人軍は紳士の集団」だと言っていて情けないだとか、暴力団排除条例キャンペーンのポスターに出てるくせにけしからんだとか、駄洒落が好きな週刊誌は、電車の中吊り広告に「ハラっちゃ、ダメでしょ」なんてやっていた。

 確かに、ハラってはダメだが、そういう正論だけでは片付けられないところにこの種の犯罪の難しさがある。

 「後ろ暗い人」にとって被害の声をあげるということは、自らの悪事を白日のもとに晒(さら)すということであって、妻が、子どもが、今まで築き上げてきた地位が、なんて“しがらみ”があってその後のダメージを天秤にかけて、それならハラってしまおう、という選択をする者が圧倒的に多い。スポーツ選手や有名人にはぶっちゃけ、よくある話だ。

 しかも、巨人は2000年に、江藤智選手(現在は一軍打撃コーチ)が女性とのスキャンダルでやはり暴力団から恐喝を受けたとして公安まで動いたし、選手も強制わいせつ致傷でパクられた。女性問題で警察のごやっかいになる、というのはもう懲り懲り、という裏事情もある。

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