“決められない政治”は民主党だけの問題ではない藤田正美の時事日想(1/2 ページ)

» 2012年06月25日 07時59分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 民主党は分裂必至なのだそうだ。3党協議でまとまった消費税引き上げ法案は6月26日に採決されるのだろうが、小沢一郎元代表は反対票を投じると明言し、採決が終われば新党構想を打ち上げるともほのめかした。

 小沢氏にとっても正念場だろう。ここまで来て、菅直人首相の不信任案の時のように、日和ってしまえばそれこそ政治生命が終わるかもしれない。だからここは潔く反対票を投じると思う。そして民主党が小沢氏を始めとする造反議員に処分に踏み切れば、離党するということでなければならない。そうしないと国民にとってはまた分かりにくい「永田町の論理」になるからである。

 鳩山由紀夫元首相は、いまだに「民主党は自分の党」という意識があるのかどうか、割ることだけは避けたいらしい。しかし今のままでは党内ガバナンスも何もあったものではない。調整能力を欠いた幹事長や政調会長のもとでは、今後も法案の成立も覚束ない状態が続くことになる。それは日本の政治の不幸だから、ここは小沢氏に政界再編の引き金を引いてもらうしかあるまい。

 しかし、政界を再編して日本の政治に新しい風が吹き込まれることになるのか。民主党が政権を取った2009年の時と違って、どうにもそこに展望が持てない。それが有権者にとってはフラストレーションだ。ある民主党の幹部が「もう日本の政党はだめだ。政治家を辞めるかもしれない」と語ったことがある。政治家がそれほどの閉塞感を持っているのなら、国民はもっと閉塞感にさいなまれているに違いない。

 財政再建というテーマでは、政党の基本的なスタンスの違いは、税制に対する考え方と歳出削減の考え方の差として表れる。要するに、「増税と歳出削減のどちらに比重をかけて財政の再建をするのか」ということだ。責任ある政党なら、増税なしで日本の財政を再建できるとは言うまい。いくら国の資産を処分しても、それは1回限りの手段。毎年20兆円を超える基礎的財政収支の赤字を埋めるのは容易ではない。

 いわゆるリベラル系、社会民主主義系なら、国による支援(公助)を強調するだろう。民主党の政策で言えば、子供手当や税金による最低保障年金がその典型である。そしていわゆる保守系なら自助を強調する。もちろん税金による年金などとんでもない。社会保障にももっと自助を盛り込んだ内容にしようとするだろう。

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