渋谷ヒカリエが教えてくれた、リニューアルの真髄と覚悟(1/2 ページ)

» 2012年06月20日 08時00分 公開
[安田英久,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:安田英久(やすだ・ひでひさ)

インプレスビジネスメディアWeb担当者Forum編集長。プログラミングやサーバ、データベースなどの技術系翻訳書や雑誌『インターネットマガジン』などの編集や出版営業を経て、現在、Webサイト「Web担当者Forum」編集長。ビジネスにおけるウェブサイトの企画・構築・運用と、オンラインマーケティングの2軸をテーマにメディアを展開している。


 渋谷ヒカリエが4月26日にオープンしました。東急や東京メトロが中心となって、渋谷駅の東口に作られた、商業・オフィス・文化施設が入る地上34階、地下4階の大規模複合ビルで、9年の歳月をかけて完成したとのこと。

 渋谷は、地域の発展とともに変わり続けてきました。駅ビルや周辺の建物も、新しい建物ができたり、増築してつなげられたりし続け、時代とともに人の流れも変わっていきました。渋谷ヒカリエの場所に以前あった東急文化会館、宮益坂、公園通り、センター街、109、道玄坂、そしてセルリアンタワーができ、マークシティができ……(私は昔からの変遷に詳しいわけではないですが)。

 そうして大きく複雑になっていった渋谷ですが、いつからか「渋谷は分かりづらい、駅に降りてどっちに行けばどこに行けるのか分からない」と言われるようになりました。

 地上3階地下5階の東京メトロの渋谷駅構内図が「まるでRPGのダンジョンのようだ」と面白がられはするものの、みんなが「渋谷は複雑な場所」「そういうもの」だと思い、それを改善できるとは思っていなかったのではないでしょうか。

 しかし、東急はそこに大きくメスを入れたのです。渋谷の人の流れを変え、新しい価値で新しい時代を作るために、渋谷ヒカリエを作りました。そのために、古い東急文化会館を取り壊して大きな施設を作り、既存の駅から大きな動線を設けたのです。

 これって、企業Webサイトのリニューアルと似ていませんか? 長年かけて、それぞれの時代に合わせて作ったコンテンツがつぎはぎされていて複雑で分かりづらくなっている企業Webサイト。その分かりづらさの背景には、さまざまな人(部署)の事情がからんだ「これは変えられないんだよね」「そういうものだと思うしかないんだよね」という部分も。

 そのため、スマホ対応するにも全体に手を入れるには手間とコストがかかりすぎ、今の忙しさがあるため最低限の部分的対応で済ませるしかなかったり。渋谷を変えるのでも、Webサイトをリニューアルするのでも、現状を大きく変えるには、大きなビジョンをもって成さねばならず、かつ、その大きなアクションを実行するための覚悟が必要なのだな、と思います。

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