「カスタマイズOK」の賃貸物件が、なぜ増えているのかこれからのことがよく分かるコラム(4/6 ページ)

» 2012年06月20日 08時03分 公開
[池本洋一,Business Media 誠]

カスタマイズ実施率は1割以下の理由

 欧米では賃貸住宅でも入居後に、自分で壁の色や、設備を替えることが当たり前。東京、ニューヨーク、パリ、ロンドンに住む賃貸居住者に「入居後に部屋の模様替え・改修をしたか」を尋ねたところ、欧米は4割前後の項目がチラホラあるのに対し、東京の実施率は軒並み1割以下。なぜ東京ではカスタマイズの実施率が低いのでしょうか?

 入居者にカスタマイズしない理由を聞くと「自分で費用を出すのがもったいない(長期間住むか不明)」、次いで「原状回復の義務があるから」という答えが返ってきました。

 原状回復の義務には、借り手が勝手に部屋を改修したり、著しく損耗してしまうことから、大家さんを守る目的があります。しかし、これが「自由にならない賃貸」という印象を与え、結果「自由に住みたいなら買うしかない」となり、賃貸離脱を招いている可能性が高いのです。

 また住み手のニーズを反映しない賃貸の仕様はどんどん時代錯誤状態になり、人気を失います。それならば、入居者が希望するカスタマイズを受け入れ、該当箇所は、原状回復要件から外してあげればよいという考え方もありですよね。入居者が費用の一部を払ってくれるなら、さらに合理的でしょう。現実に、物品を購入し、自費でカスタマイズしている入居者もいます。

 また企業も動き始めています。例えばレオパレス21は「お部屋カスタマイズ」と称したカスタマイズの仕掛けを始めました。壁紙の1面を最大45種類の壁紙から選べたり、飾り棚やウォールアートなども楽しめる提案を用意して、プロモーションをしたところ、Webサイトのアクセス数が5倍に伸びたとか。カスタマイズの潜在ニーズがうかがえます。

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