なぜ「賃貸カスタマイズ」が増えてきているのでしょうか。まずは入居者側のニーズを見てみましょう。背景にあるのは、20代の「中古志向」。「新築志向」の団塊ジュニア(30代後半)に対し、20代は築年数の古い物件に対する容認度が高い傾向があります。
インテリアの流行を予測するには、新しくできたカフェをヒントにすると良いのですが、今の20代に好きなカフェを聞くと、古民家改装、レトロビルの改装など「古さを生かした」「経年の味わいをうまく生かした」ものが上位に。この志向は、賃貸にも表われています。住まいの総合サイト「SUUMO(ネット)」に掲載されている物件の資料請求でも、その傾向がうかがえます。
例えば「東京市部」エリアで全体に占める「築21年以上物件への資料請求数の比率」は、2007年が「16%前後」だったのに対し、2011年はほぼ倍の「約30%」に増加。駅からの距離は譲れない人が多いのですが、築年数は容認する人が多いようですね。
築古容認のニーズは、まず中古マンションのリノベーションへ展開しました。この3〜4年で、一気に「リノベーション」という言葉が広まり、古めの中古マンションを大きく改装する人が出てきました。このニーズは賃貸分野にも“飛び火”しているかもしれないと思い、「賃貸の改装ニーズ」を調べてみました。
結果「一部コストを負担してもいいから、自分の好みにカスタマイズしたい」という人が、なんと約9割もいました。
また敷金が引かれないならばやってみたいリフォームを聞いたところ「壁に棚板を付ける」がトップ。次いで「照明を好みのものに変える」「壁にフック、コートハンガーを付ける」など壁面の有効利用や収納増設などのニーズが多く見られました。
無印良品が「壁につけられる棚」という商品を積極的にPRしています。この春にはCMにも登場していました。こういったカスタマイズパーツのサプライが充実してきたこともニーズの顕在化に貢献しているかもしれません。
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