地場証券、厳冬の時代(2/2 ページ)

» 2012年06月15日 13時00分 公開
[SankeiBiz]
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 同じ年に売買手数料が自由化されてネット証券が登場し、手数料の値下げ競争が激化したことも、コスト競争力で劣る地場証券を苦境に立たせた。今では、個人売買の約8割をネットが占めている。

 さらに追い打ちをかけたのは東証が10年に導入した売買システムだ。人のまばたきより処理時間が短い新システムには、株価を目で確認しながら稼ぐやり手の証券ディーラーも太刀打ちできなかった。

 東証は来年1月に大阪証券取引所と合併した後で上場する方針。東証の株主は証券会社で107社が2万株程度ずつ保有する。その含み益は数十億円とされ、将来の展望が見えない中、「上場後に株を手放し店をたたむことになっても不思議はない」と考える地場証券は少なくない。

 兜町では金融センターとしてのにぎわいを取り戻そうと、平和不動産が再開発を計画している。計画は構想段階だが、複数の高層ビルが建設されて景観が大きく変わる可能性がある。十字屋HDの安社長は「東洋を代表する金融街として復活してほしい」と再開発の成功を祈る。(井田通人) 

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