コラム
» 2012年06月15日 08時00分 UPDATE

帝国ホテルに学ぶ、コンシェルジュサービスの本質 (1/3)

「コンシェルジュ」をコンセプトに掲げているサービスが増えているが、お客さんに本当に喜んでもらえるために押さえるべきポイントは何なのだろうか。帝国ホテルの事例から探る。

[松井拓己,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:松井拓己(まつい・たくみ)

ワクコンサルティング株式会社執行役員・チーフコンサルタント。名古屋工業大学産業戦略工学専攻修了後、大手化学工業品メーカーで商品企画開発に従事。その後、事業開発プロジェクトのプロジェクトリーダーとして、問題分析手法を活用した業務改革テーマの創出や、サービスサイエンスを取り入れた新規事業戦略立案に貢献。現在はサービスサイエンスおよび新規事業開発を中心に支援を行っている。


 最近よく耳にする「コンシェルジュ」という言葉。もともとはホテルでお客さんからのさまざまな要望に応えるスタッフの職務のことを指していましたが、最近は派生してあらゆるサービスで「お客さまのご要望に柔軟にお応えします」というサービスコンセプトの代名詞となっています。

 例えば、接客スタッフのサービスコンセプトとして掲げていたり、「○○コンシェルジュ」というサービスメニューが設けられていたり、総合案内所の別名として「コンシェルジュ」と表記されていたり……。

 しかし、その一方で「コンシェルジュサービスを提供するために、どんな努力をしたら良いのか?」については直感や現場・個人任せになってしまっている企業も多いようです。そこで今回は、コンシェルジュサービスを提供するために押さえるべきポイントとは何なのかを、帝国ホテルのサービスから探ってみたいと思います。

帝国ホテルのサービス

 帝国ホテルは1890年に開業した、日本を代表する高級ホテルの1つであり、最高レベルのサービスを受けられることで知られています。また以前から新サービスを生み出していることでも有名です。例えば、1910年に始めた日本初のホテル館内でのクリーニングサービスは、ボタンを外してからクリーニングをするなど、質の高い伝統サービスとして知られています。また、食べ放題の代名詞であるバイキングを生み出したのも帝国ホテルとされています。

ah_nau1.jpg 帝国ホテル公式Webサイト

 このように新たなサービスを生み出してきた帝国ホテルで近年新たに発足したのが、コンシェルジュサービスのレベルをさらに高めるための「ロビーマネジャー」という職務です。その主な役割としては、「ドアマンがお客さまをお迎えし、フロントでチェックインいただき、ベルマンが荷物をお持ちしながらお部屋に案内する」といったロビーでのサービスプロセスの中で、お客さんに不快な思いをしないよう、さらには大満足いただけるよう、お客さんに寄り添うことが求められています。

 具体的には……

  • お客さまの名前を呼んでお出迎えする
  • 何か困っている様子のお客さまに、こちらからお声掛けし、ご要望にお応えする
  • 順番待ちのお客さまが不快な思いをしないよう、話しかけて楽しい時間を過ごしていただく
  • 必要以上にお声掛けしない(そっと見守る)

 ……といった具合に、お客さんの状況に共感して柔軟に対応することが求められるのがロビーマネジャーの仕事です。この職務には各サービス部門の精鋭が集められ、ほとんどマニュアルがない中で、これまでの経験をもとに質の高いコンシェルジュサービスを提供しており、これが帝国ホテルの顧客満足向上やリピーター獲得につながっているのです。

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