中国のコンビニで「おでん」が売れた理由新連載・ローソンの海外物語(中国編)(3/4 ページ)

» 2012年06月13日 08時01分 公開
[ローソン海外事業研究部,Business Media 誠]

ライフスタイルに「おでん」が浸透

 中国風の「おでん」はできたのですが、また壁にぶち当たりました。「おでん」を知らない中国人に、どのように広めていけばいいのか。この課題に対し、まずは販売する側が、「おでんとはどういった食べ物なのか」を知ってもらうことから始めました。

 担当者がおでんの鍋や具材を持って、各店を訪問。「おでん」を仕込み、それをお客さまに売ってまわりました。もちろん、それだけでは理解してもらえません。1度だけではなく、何度も足を運び、試食をしてもらう。そうした下積みを経て、徐々に受け入れられていきました。

 ところが、またまた壁が立ちはだかりました。「おでん」の肝となるダシの味が、店舗によって濃かったり薄かったりと、まちまちに。お店では濃縮タイプのダシを使用し、それを仕込みの際に薄めなければいけません。しかしお店によって「もったいないから、薄めにしよう」「見た目が薄いから味がしないのではないか。濃いめにしよう」といった動きがありました。マニュアル通りにいかないとは、まさにこのこと。地道に指導をして、理解をしてもらうしかありませんでした。

 実験販売の開始から1年が経過し、上海で「おでん」がブームになりました。串さしで手軽に買えることや魚を手軽な価格で食べられることなどが支持され、「おでん」は、中国人のライフスタイルに浸透していきました。

 「おでん」を片手に雑誌を立ち読みしたり、「おでん」を食べながら歩く――。こうした若者がカッコいい、とメディアで紹介されました。こうして、中国で「おでん」は年間を通して売れる商品となり、ある店では1日1000本を売るほどの大ヒット商品になりました。ちなみに日本では数百個なので、いかに中国で売れていることが分かりますよね。

ローソンの上海一号店

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