ビジネスで使うと危ない(?)6つの英語の慣用句ビジネス英語の歩き方(1/2 ページ)

» 2012年06月12日 08時00分 公開
[エリック・ジャクソン,Business Media 誠]

「ビジネス英語の歩き方」とは?

経済のグローバル化で、国内の外資系企業で働く人だけでなく、海外企業で働く人も珍しくなくなっている昨今。社内英語公用語化の流れもあり、事実上の世界公用語となっている英語の重要性がますます増しています。この連載では、ビジネスシーンで英語や英語圏の文化に関わるに当たって、どんなことに気を付けるべきなのかを解説していきます。


 米国や欧州では、あらゆる場面のビジネス会話で慣用句を使う傾向にあります。英語を母国語としない人が英語会議などに参加しようと思うなら、そうした言葉を知っておかないと流れに付いていけないこともあるでしょう。

 ただ、自分が慣用句を使用する際には、よく気を付けてください。半端な理解のまま使うと、意図と違う受け取られ方をしてしまうことがあるからです。おかしく聞こえるだけならほほえましいのですが、侮辱していると思われてしまうと最悪です。

 また、ビジネスの世界でよく使われてはいるものの、実際は使うことはオススメできない慣用句もあります。それは多用され過ぎたために、新しさや本来の意味を失い、ありふれた表現となってしまったことによるもの。そんな言葉を「クリシェ」と言うのですが、今回は6つのクリシェをご紹介していきます。

1. 「find synergies」(シナジーを生む、ex.バークレイズ

 これはビジネスの世界で、あっという間にジョークのような印象を持たれるようになってしまったクリシェ。「synergy」(シナジー)とはもともと、合わせたものが個別の数より多くなることを指します。つまり、「1+1=3」になるということ。このフレーズは、提携や合併、買収などで協力する際の会話でよく使用されます。

 ただ、ビジネスの世界ではMBA取得者やコンサルタントに多用され過ぎていて、現在では真の意味をほとんどなくしています。もし同様の意味を伝えたいのであれば、もっと良いフレーズを使って、具体的に伝える必要があるでしょう。

 例えば、「The merger will bring new synergies」(今回の合併は新しいシナジーをもたらします)と言う代わりに、「The merger will let Company A sell its products directly to Company B's customers」(今回の合併により、A社はB社の顧客に直接商品を販売できるようになります)と言い換えることで、具体的なプラス材料を示すことができ、説得力が増すというわけです。

2. 「shift the paradigm」(パラダイムの転換)

 「paradigm」(パラダイム)とは、典型的で広く受け入れられている例、またはモデル、意見や理論のこと。つまり「shift in paradigm」(パラダイムをシフトする)や「changing the paradigm」(パラダイムを変える)というクリシェは、「新しい、または変わったアプローチで物事を考えること」を意味します。「thinking outside the box」(既存の枠の外で考える)とほぼ同じ意味だと言えるでしょう。問題に対する新しいアプローチをとるというアイデア自体は良いのですが、「paradigm」は現在のビジネス会話で多用されすぎています。

 もし、見方や切り口を変えることを強調したいのであれば、「change our approach」(方法を変える)や「find a new approach」(新しい方法を見つける)といったシンプルなフレーズを使うと良いでしょう。

3. 「think outside the box」(既存の枠の外で考える)

 1960年代後半から1970年代前半にかけて、米国で使用されるようになったフレーズ。「創造的に考える」もしくは「新しいアプローチを見つける」ことを表現する言い回しの1つです。「box」(箱)が意味するのは、現在の状況下での限界や制限、つまり古い方法です。

 しかし、あらゆる場面で使用され過ぎた結果、現在は本来の意味を適切に表せないクリシェとなってしまいました(つまり形だけ使われて意味が弱くなっているということです)。

 例えば、会社の商品のすべてが似たようなものになり、同じ特徴ばかりになったとします。今まで役に立っていた問題解決方法ではもう解決できないという場合には、「find a new approach」(新しい方法を見つける)や「come up with a new idea」(新しいアイデアを考える)といったフレーズを使用した方が適切でしょう。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.