“嫌儲”の人、“好儲”の人ちきりんの“社会派”で行こう!(2/2 ページ)

» 2012年06月11日 08時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]
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市場と向き合うことが人を成長させる

 以前、「お金を払うよりお金を稼いだ方が学べるよ」とも書きましたが、“稼ぐ・儲ける”ことこそ人を成長させるとも考えています。

 さらに、儲けようとする人たちが顧客と向き合う市場の仕組みは、今のところ現代社会における最も有効な問題解決の手法です。これがベストとも万能とも言わないですが、これより優れた仕組みをまだ私は知りません。

 規制産業が嫌いで、アタッカー企業を応援するのもまったく同じ考えからです。人が創意工夫で儲けようとするのを監督官庁が邪魔したり、規制の恩恵を受けている既得権益者が自由競争を拒もうとしたりすることを忌み嫌ってもいます。

 そして私は事業を大きくして巨額の資産を形成した人、経済的な成功者を尊敬しています。それはその人のセンスや才覚や行動力、決断力が、市場で評価された証だからです。特に、長きにわたってそういった状態を保つのは本当に大変なことだと思います。

 日本は不況で、就職市場では公務員や安定した大企業が人気らしいですが、「そんなにみんなして“非成長セクター”を目指しててどーすんの?」と思います。

 「お金を稼ぐ面白さを体験できる授業」を早い段階で教育の中に組み入れたらどうでしょう。「ベルマークを集めて寄付」もいいですが、「バザーでは、クラスのみんなで稼いで寄付をしましょう。どこのクラスが一番儲けられるか競争しましょう!」みたいなことを中学校でもやればいいのです。

 学校の周りに住んでいる人々のニーズを分析し、社会に求められているものを提供することがお金につながるのだと理解するのは、とても大事なことです。資金が足りなければ教師が貸すかわりに、ちゃんと利子もとって、借金の意味も教えるべきです。インターネットを使って稼ぐのもありだし、法律とか商道徳も一緒に教えられる良い機会となるでしょう。

 何より、自分が価値あるものを提供して、それを評価してくれる人からお金をもらうということ、その一部を税金として国に納めて社会に貢献し、さらに、自分で稼いだお金を、自分が価値があると思えるものに消費したり、投資したりするというお金のダイナミズムを、ぜひ人生の早いうちに知ってほしいと思います。

 そんじゃーね。

社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!』(大和書房刊)

ちきりんさんによる新刊『社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!』が5月19日に発売されました。

崩壊前のソビエト連邦から東南アジア、アフリカまで、数十カ国を旅したちきりんさん。世界を旅しながら、考えたことをまとめています。ちきりんさんによる紹介エントリはこちら(「PR)世界を歩くと、ホントにいろいろ考える……」)


著者プロフィール:ちきりん

兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『自分のアタマで考えよう』『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」。

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