コラム
» 2012年06月08日 08時00分 UPDATE

世界最大のオーガニック・スーパーが実践する“チーム”の極意 (1/2)

企業は人の集合体。米ホール・フーズ・マーケットでは、チーム単位のマネジメントを行うことで、個々の従業員の帰属意識や責任感、オーナーシップの向上を実現しているという。

[石塚しのぶ,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:石塚しのぶ

ダイナ・サーチ、インク代表取締役。1972年南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業で職歴を積んだ後、1982年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「『顧客』の時代がやってきた!『売れる仕組み』に革命が起きる(インプレス・コミュニケーションズ)」「ザッポスの奇跡 改訂版(廣済堂)」がある。


 “チームワーク”は使い古された言葉だ。面接などでも「あなたはチームプレイヤーですか」という質問が必ずといっていいほど投げかけられる。だが、その意味を本当に理解している人は少ないだろう。

 「3人寄れば文殊の知恵」ということわざがある。これは、ブレイン・パワーやナレッジという角度から、チームの意義を述べたものであるとも解釈できる。1人で考えるより、みんなで考えた方がより優れたアイデアが浮かぶ。Web時代の到来に伴って、「集団の英知」などということも盛んに語られるようになった。

 ここ数年、戦略的企業文化という理論を語るにあたり、個の力が発揮できる組織作りの重要性を提唱しているのだが、私はここで、いわゆる個人主義や個人プレーを奨励しているわけではない。戦略的企業文化に基づく組織の中の個とは、あくまで「同じ目的を共有する集団の中の個」である。

 突出した文化を持つ米国企業を観察していると、いずれもチームのコンセプトによる組織作りに長けた企業が多いことに驚かされる。先に種明かしをしてしまうと、これは、「1.共通の目的と価値観で統一された組織をより強固なものにしつつ」、「2.集団の中の個の裁量権をフル活用させることで個の力を最大限に発揮し」、「3.個人の組織に対する帰属意識やエンゲージメントを高める」という仕組みの1つである。戦略的企業文化のマネジメントにおいては、チームの意義が新たにとらえ直されていると言える。

 例えば、世界最大のナチュラル/オーガニック・スーパー、ホール・フーズ・マーケットでは、各店舗が8〜10のチームから構成されている。これは、店舗小売業という業態における意思決定を中央集権型から分散型へとシフトするための工夫である。

ah_nau1.jpg ホール・フーズ・マーケット公式Webサイト

 品揃えや売場作りに始まり、店舗小売業においては地域性に基づくカスタマイズが極めて重要だが、ホール・フーズ・マーケットでは、各店舗、ひいては各店舗の中の各チームがあらゆる意思決定を下す。本部を国に例えるなら、店舗は州、チームは市町村のようなものだ。市は州の法律に従い、州は国の法律に従うが、州や市町村にはそれぞれの地域性に基づくバリエーションがある範囲まで許容されている。

 チームは組織に対するプライドや愛着を高めるのにも役立つ。ホール・フーズ・マーケットでは、報奨はチームの功績に対して与えられる。また、新しく入ってくる従業員の場合、仮に面接を経て入社が決まっても、チームに受け入れられるまでは真の意味でホール・フーズ・マーケットに所属することにはならない。

 従業員は自分で働きたいチームを選び、そこで30〜90日間の見習い期間を過ごす。その間に、チーム・メンバーは新人の働きぶりや人柄を観察し、最終的にはチームとその個人との相性について投票を行う。そして、チームに受け入れられた者だけが初めて、ホール・フーズ・マーケットという共同体の一員になれるというわけだ。また、チーム・リーダーも上(本部)が任命するのではなく、チーム・メンバーによって選ばれるという仕組みも、個々の従業員の帰属意識や責任感、オーナーシップの向上に貢献している。

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