studygiftは、paperboy&co.の創業者で起業家の家入一真氏が中心となって立ち上げたサービスです。私は、家入氏という人をあまり知らなかったのですが、このサービスはさすがとうならざるを得ないプロの考えたモデルだと思いました。
もちろんこのビジネスモデルが、実は2番煎じ、3番煎じであることは知ってます。例えばクリエイターと賛同者(投資者)を仲介する「キックスターター」や、アイデアを持つ実行者の寄付を募る「READYFOR」など。その他にもファンドサイトはいくつもあると思います。当然それでいいと思います。私は2番煎じ大好きです。
サービスというのは、基本的な機能は同じでも光の当て方でまったく別の見え方になるもの。セグメントを絞る/広げる、機能を絞る/付加するで、注目される/されない、利用される/されないに大きく影響します。
このさじ加減が難しいのですが、studygiftはセグメントを思い切り絞り、機能もシンプルにして分かりやすくしています。飛びつきやすい大きさになっていて見事だと思います。
ではなぜ、studygiftはここまで火だるまにされてしまったのでしょうか。
ある1人の学生だけを成功事例として取り上げた――この点が私は今回の騒動の一番のミソだと思います。
「なぜ苦学生を救おうというなら、複数の学生を載せないんだ?」と多方面からお叱りの声が上がっていますね。ネットリテラシーの高い人も結構批判しています。
もしもスタディギフトが、彼女の支援だけでなく、彼女も含めた5人や10人の支援募集から始まっていたら、結果は変わっていたかもしれない。
とあります。
しかし、私はこのサービス内容であれば、スタート時に1人をピックアップして集中的にリソースを突っ込むというは、まったくもって当然なやり方だと思います。
起業の際によくスモールスタート(小さく産んで大きく育てる)を目指せと言われますが、そのお手本がここにあります。
何も少ないお金で始めるということがスモールスタートではありません。今使える資源から何ができるかを考えることこそが大事だと思います。
机上の企画を綿密に立てて、それに合わせてコンテンツやリソースを集めるのがどれくらい大変なことか。私はこれまで、何度もそういう失敗パターンを目にしてきました。
コンセプトも新しく、ニーズもあると思われ、システムも必要最低限で不具合無く作り込み晴れてリリースにこぎ着けたものの、その先、コンテンツを集めるのに偉い苦労をして、必死で自分達でサクラ記事を書き続けるも、一向にコンテンツは集まらずに数カ月後に閉鎖した――こんなサービスもありました。
いや、ありましたというより、そんなことは日常茶飯事です。
また別のケースでは、開発途中で「今までサービスの内容ばかり考えてきたけど、プロモーションの仕方が分からない」と、急に不安になり突然の開発中止。無期延期になってしまったこともあります。
今回のstudygiftの件を私が先ほど日本経済新聞の記事も含めて想像すると、対象となった元女子大学生(以下、Aさん)との話の中でポッと出たジャストアイデアを膨らませたものだと思います。
つまりこういうことです。
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恐らくこうした流れだったのではないかと、勝手に想像します。
Aさんも主催者に厚い信頼を置いていたのでしょう。そういう人というのは希少です。スタートアップ時の貴重なリソースと言っていいです。
1人を成功事例にして注目を集め、サービス自体の認知度を高め、次に3人5人の学生を集め、ここにもリソースをそこそこ注ぎ、それがうまくいけば完全公募する。これが、一番リスクがないでしょう。
あるいは、サイトのコンセプトやブランディングを大事にするのは、完全公募はやらなくても全然いいと思います。
何度も言いますが、それがダメだというのであれば他の起業家がそこを改善してサービスを出せばいいのです。
ここまでのところで、火だるまにして叩きつぶすに値する理由はまったくありません。
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