コラム
» 2012年06月05日 08時00分 UPDATE

中国だけの話じゃない!? 監視社会へようこそ (1/2)

「テロとの戦い」という名のもとで、監視社会に向けてさまざまな技術が導入されている。それは国民の安全、国家の安全のためと言われるが、実際は誰が、何を監視するためなのだろう。

[トッテン ビル,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:トッテン ビル

アシスト会長。1969年に米国の大手ソフトウエア会社の一社員として市場調査のために来日し、1972年にパッケージ・ソフトウエア販売会社アシストを設立、代表取締役に就任。2006年、日本に帰化し日本国籍取得。2012年、会長に就任。


 「テロとの戦い」以前から、米国政府が情報機関を使って盗聴などを行っていたことはもはや周知の事実である。1970年代にも、政府の不法行為を捜査するために「チャーチ委員会」という上院外交委員会が民主党上院議員のフランク・チャーチ氏によって作られ、CIAやFBIなどの職権乱用を調べる大規模な捜査が行われている。

 1975年、チャーチ議員は「国家安全保障局(NSA)が行っている諜報活動は、いつなんどき米国市民に対して向けられることになりかねない。電話、電報などすべてが監視されれば、米国人にプライバシーはなくなるだろう」と発言しているが、彼の懸念はもはや現実となった。

 2008年、元ニューヨーク州知事のエリオット・スピッツァー氏がホテルの客室で高級売春クラブで買春していたことがFBIの盗聴で明るみになり、知事を辞任した事件があった。元知事の買春が公になったのはFBIが政府にかかわる銀行取引に関する捜査をしていた関係からだというが、恐らく一政治家を失脚させるのに良いタイミングであったのだろう。なぜならこの知事はそれまでにウォール街の不正取引を告発してきた経歴があるからだ。失脚させることで何かを隠そうという大きな力が働いていたのかもしれない。

 そのNSAは今、ユタ州に20億ドル(約160億円)をかけて巨大な施設を構築している。ここには世界でもっともパワフルなスーパーコンピュータが装備され、米国人の電話、メール、インターネット利用状況、購買やレンタルの記録、すべての暗号化されたものなどをモニターし、データは永久にそこで保管されるという。米国が全体主義国家になる日は遠くないかもしれない。言い換えると、ジョージ・オーウェルの『1984年』、オルダス・ハクスレーの『すばらしい新世界』はすでに到来しているということだ。少なくとも技術的には。

 ルモンド紙によれば、2011年にリビアでカダフィ大佐が殺害された後、トリポリにあるリビア政府の監視センターを訪れたウォールストリートジャーナルの記者は、政府がインターネットから携帯、衛星電話までをモニターしているのを見たという。そこに導入されていたのはフランスのBullの子会社であるAmesysの情報監視設備であり、2007年、サルコジ大統領が武器や原発設備とあわせてリビアに納品したものだという。

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