鉄道の未来は? と聞かれれば、答えは「厳しい」と言わざるを得ない。人口減で需要が減少するなか、台頭する格安航空会社(LCC)と整備されていく高速道路網と戦っていかなければいけないからだ。
もちろん鉄道が急速に衰退するとは思えない。むしろ首都圏では次々に新線が開業し、既存路線が整備されていっている。「過当競争に陥っているのではないか」という懸念が広がるなか、地方鉄道は赤字に苦しみ、廃止・縮小を余儀なくされている。
こうした現状に対し、鉄道会社は次の一手をどのように打てばいいのだろうか。そこで鉄道事情に詳しい共同通信の大塚圭一郎記者とBusiness Media 誠で連載をしている杉山淳一氏に、徹底的に語り合ってもらった。対談は全7回でお送りする。
→“LCC攻勢”が強まれば、鉄道会社はどうなるのか(第2回)
→「鉄道ファン=良い客じゃない」――この構図にしたのは、誰か(第3回)
→鉄道と街はどのように変化するのか――渋谷と大阪に注目する(第6回)
→本記事
大塚:東京メトロが銀座線に導入した新型車両(1000系)が4月11日に営業運転を始めました。最近はステンレスまたはアルミ合金の素材感がむき出しで、外観も“金太郎あめ”のように似たり寄ったりの車両が目立ちます。そうした中で、レトロ調のデザインと最先端技術の新旧の要素を融合させた車両を目の当たりにし、久しぶりに「いいね!」と思いました。
1000系は、東洋初の地下鉄として1927年に上野―浅草間が開業した銀座線の初代車両をイメージした外観に仕上げています。東京メトロの幹部は「地下鉄は勾配のある区間が多いので、最近の車両はコストは割高なものの、軽量化につながるアルミ合金を採用している」と話していました。しかし1000系は、アルミ合金の車体に特殊なシールを貼り付けることで、昭和初期に登場した車両をほうふつさせるレモンイエローの車体と茶色い屋根に仕上げています。
杉山:私は高校時代にオレンジ色の銀座線で通学していたので「懐かしいな」と思ったのですが、当時のオレンジ色ではなくて、その前のレモンイエローなんですね。
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