コラム
» 2012年06月01日 08時00分 UPDATE

企業文化の出発点は存在意義に求めるべき――ドラッカーが教えてくれたこと (1/2)

先週、ボストン近郊で行われた企業文化のカンファレンスで、ドラッカーの「先見の明」を改めて実感したという筆者。これからの企業戦略はパーパス(存在意義)の追求から始まるのだという。

[石塚しのぶ,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:石塚しのぶ

ダイナ・サーチ、インク代表取締役。1972年南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業で職歴を積んだ後、1982年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「『顧客』の時代がやってきた!『売れる仕組み』に革命が起きる(インプレス・コミュニケーションズ)」「ザッポスの奇跡 改訂版(廣済堂)」がある。


 先週、マサチューセッツ州ボストン近郊で行われた企業文化のカンファレンスに出席してきた。

 オープニングの基調講演では、世界最大のナチュラル/オーガニック・スーパーであるホール・フーズ・マーケットの創設者兼CEOであるジョン・マッキー氏が、企業にとってのパーパス(存在意義)の重要性について語っていた。

 近年、米国のビジネス界では、この「パーパス」ということが盛んに話題にされるようになってきた。パーパスは従来「ミッション」と呼ばれるものとは根本となる考え方が異なる。

 パーパスというのは、社会のソーシャル化を背景として際立ってきた考え方だ。2005年くらいを境として、各種テクノロジーの発展のおかげで生活者のネットワーク化が大規模、そしてめざましいスピードで進んだ結果、社会の透明性が高まり、企業と生活者の間の壁がどんどん薄くなってきた。世界的な生活水準向上ともあいまって、社会意識の高い生活者が特殊な人たちではなく、マジョリティとなってきたわけだ。

 そして今日、社会意識の高い生活者は社会意識の高い企業を求め、社会全体に貢献する明確な目的意識(パーパス)を持ち、世に向けて主張する会社を消費/購買活動で積極的に支持するようになっている。やや抽象的な言い方をすれば、企業が「何をするか(事業内容)」だけではなく、「なぜ(パーパス)、どのように(手段)行うのか」がより重視される時代がやってきたということだ。

 ザッポスやホール・フーズ・マーケット、トレーダー・ジョーやサウスウエスト航空、パタゴニアなどはこの筆頭となる企業で、米国では「コンシャス・キャピタリズム(高い社会意識をもつ資本主義)」と呼ばれるムーブメントの先端を行く企業である。

 スピーチの中で、ジョン・マッキーは「企業文化の出発点はパーパスであるべきだ」と述べた。ごく簡単に言うと、コア・パーパス(中核的存在意義)とは企業自身の利害をはるかに超えたものであり、社会に貢献し、生活者に支持されるものでなくてはならない。もっと言えば、会社に働く人たちの心を奮い立たせるものでなくてはならない。

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