製造業もサービスを売れ! 4つの方向性を考える(2/3 ページ)

» 2012年05月30日 08時00分 公開
[松井拓己,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

3.サービスを通して製品の魅力を伝える。

 製品とサービスの大きな違いの1つが、購入前に試すことができるかどうかという点にあります。つまり、製品は購入前に店頭で見たり触ったり他社品と比べたりということが簡単にできます。しかし、お客さんのニーズが、ただ単にモノが欲しいというものから経験や価値にシフトするにつれて、店頭で製品を並べるだけでは価値を感じてもらえないということが見られるようになってきました。そこで、サービスでの経験を通して製品の価値を感じてもらう取り組みが活発になってきています。

 例えば、子ども用玩具の輸入・開発・販売をしているボーネルンドでは、おもちゃを陳列販売するだけでなく、店舗内にプレイスペースを併設していて、販売するおもちゃや狭い室内では遊べない大きな遊具で実際に遊んでもらうことで、製品の良さが体感できるようになっています。また、ヘルスメーターのメーカーのタニタが丸の内タニタ食堂で健康に良い食事を提供したり、調理器具のルクエの販売企業がルクエカフェでルクエでの調理と食事を体験してもらったり。

 このように、サービスを通して製品の価値を体感してもらうことで、ファンを増やそうという取り組みが活発になってきています。

4.サービスだけを販売する。

 最後にご紹介するのは、製造業でありながらサービスだけを販売することで成功しているケースです。

 例えば米国のGEは、航空機のエンジンを製造して航空機メーカーに販売していましたが、最近では航空会社に対して飛行時間に応じて航空機エンジンをリースすることで、リース料と保守・メンテナンス料でビジネスを成功させています。ほかにも、空調機器メーカーが企業に対して空調機を販売するのではなく、無料で設置した空調機を遠隔操作で制御して「快適な空調環境を提供するサービス」だけを販売しているケースもあります。

 ここでのポイントは、「サービスも提供できる製造業」ではなくて、「製品製造もできるサービス業」になれるかどうかです。つまり、自社のサービスの価値を最大限発揮するために製品を作るということです。この視点に立つと、「製造ができる」ということは、ほかのサービス会社に比べて極めて価値のある強みを持つことができると言えます。

 サービスの視点で製品の機能を見直してみると、新たな気付きが得られるのではないでしょうか。このように、サービスを製造業のビジネスの中心にすえて、収益向上や競争優位性の向上を実現することで事業に大きく貢献させることが、製造業におけるサービス化成功のポイントになると言えます。

Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.