危機に瀕する地方鉄道に、打つ手はあるのかどうなる? 鉄道の未来(7)(3/6 ページ)

» 2012年05月30日 08時05分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

もし地方で鉄道がなくなれば

杉山:国鉄の赤字ローカル線問題が取り沙汰されていたころから、鉄道ファンはこのように指摘していました。道路は国や自治体が整備して、バス会社はそこを走行しているだけ。空港も国や自治体が整備して、航空会社は使用料を払っているだけ。つまりバス会社や航空会社は、自分たちでインフラ部分はつくっていないんですね。なのに鉄道会社はなぜ自分たちで線路をつくって、固定資産税を支払わなくてはいけないのか。鉄道だけ矛盾しているじゃないか、という指摘はずっとあります。

 地方のローカル線は乗客数が少ない。そうした環境の中で、すべてのメンテナンス費用を鉄道会社が支払え……というのはやはり無理がある。もし市場原理の競争で……という話になれば、バスが有利なのは決まっている。なので運行する列車の座席数に応じて負担してもらい、そして自治体は補助金を出すといった形にすべきなのではないでしょうか。

 例えば、能登空港ではANAに対して、お客さんが乗らなければその差額については補てんしますよ、だから飛行機飛ばしてくださいね、といった形でお願いしている。このように地方鉄道に対しても、何らかの形で支援しなければやっていけないと思っています。

大塚:確かに。その点については私も多くの地方鉄道幹部らを取材してきた経験から、同じ考えを持っています。

杉山:今、岩手県で土砂崩れに被災して不通となっている岩泉線が復活できるかどうかが、注目されています。JRはバスにしたいと言っていますが、自治体は鉄道にしてほしいと言っている。

 復活しても赤字になるのは分かっているので、乗客を増やさなければいけない。住民は急に増やせないから、自治体は今までより観光誘致にも力を入れる必要がある。そこで鉄道ファンの出番があるのではないか、と思っています。

大塚:どういうことですか?

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.