使えねえなこの研修……ちょっぴり生意気な新入社員のホンネ：新人4人＋院生1人が語る、会社のヘンなこと（1/5 ページ）

[須田希美，Business Media 誠]

　2012年卒の新入社員が入社してもうすぐ2カ月。今年の新入社員は、第二就職氷河期に加え3.11の震災を乗り越えてきた。マイナビの調査（外部リンク）によると、2011年8月末には例年並みの水準まで持ち直したものの、2011年4月時点の内定率は前年度比マイナス11.2％。リクルート ワークス研究所の調査（外部リンク）によると、求人倍率も2011年卒1.28倍、2012年卒1.23倍、2013年卒1.27倍、と2012年が落ち込んでいることが分かる。

　そんな例年と違った就職活動を乗り越えてきた新入社員たち、彼らは今何を考えているのだろうか。そこで、四年制大学をこの春に卒業して就職した新入社員に「社会人になってみてどう？」というテーマで話し合ってもらった。また、就職以外の選択をした人の考えに触れるために同じくこの春に大学を卒業した現役大学院生にも加わってもらった。

　研修を受けた新入社員が思うこと、そして企業が新入社員に伝えたいことにその差はあるのだろうか。イニシアチブ・パートナーズ代表で組織人事コンサルタントの川口雅裕氏から「研修とは何か」について取材したので、記事の後半で紹介したい。

　今回集まった5人のプロフィールは以下の通り。

　そして、アイティメディア新入社員の須田希美が司会を務める。

世の中の色んな研修

須田　最初に、どのくらいの期間でどんなことをしたのかを教えてください。

脇坂（SIer）　ウチは営業の人は2カ月で、まだ研修中。内容は、座学6割、ワークショップ4割。今までは、ビジネスマナーとか会社のこととかをやっていたけど、今日から製品知識とか、PCスキルについての勉強をしている。SEはもっと長い期間やる。SEは実際にアプリを作って、その過程でプロジェクトの流れなど全般を学ぶ会社もあるみたい。

井上（損保）　俺は1カ月。ウチは金融だから基本的には座学。でも座学と同じくらい体験型のテーマも多かった。一番面白かったテーマは“前に出る力”かな。講師が100個くらいのテーマが入ったくじを用意していて、適当に引く。それを読み上げるんだけど、専門的な用語だったり世界の経済事情を知らなかったりすると分からない話題だったりするわけ。それに対して一番早く挙手して1分間スピーチする。1班に5人いて、その全員がしっかりスピーチできたら優勝というルール。

広瀬（鉄道）　俺は最初の2週間は社会人研修をやって、その後1週間で営業規則などの研修をやった。今は駅で見習いとして働いている。駅員として改札やホーム監視、清掃などを受け持っているよ。朝9時〜翌朝9時のシフト制で、一応仮眠時間が4時間設けられてる。終わった日はそのままオフ日になるんだ。混雑時は駅のホームにいることもあるけど、普段は窓口や忘れ物管理、清掃、ゴミ出しなどやらなきゃいけないことは山のようにある。

須田　何年か経験して運転士になるのですか？

広瀬（鉄道）　実はまだ、運転の知識は学んでいないんだ。駅員数年、車掌数年やってからようやく運転士の受験資格がもらえる。会社によるけど、ウチの会社はそこでやるかやらないかを自分で選べるんだ。

のどが枯れるまで……“体育会系”の研修

村岡（アパレル）　私の会社は入社前に3日間だけ。初めの2日間はとにかくボロクソに言われる。何をやっても怒られる。休憩時間ですら「試されていると思え」と言われて携帯すら見れなくてさ。「メモとる時に笑顔が消えてるからダメ」と注意されたり。毎日朝から晩まで12時間拘束。

　実技では、大声で「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」をひたすら繰り返す。のども枯れた。そしてストレスで食欲不振になった。朝無理して食べて、直後にせき込んだら全部吐いちゃったり。で、研修最終日は、褒められる。「今まで頑張ったね」と言われるのがうれしくて、気付いたら泣いている私……。

　幸い実際の職場で大声出したりすることはない。今のところ研修が一番しんどかった。研修最終日に飲み会を企画したんだけど、そこでは「みんないつ辞める？」と話していた。入社前だったのにね。

深川（大学院）　それって目的はなんなんだろうね。一体感？

村岡（アパレル）　うん、おそらく一体感や達成感だろうね。