コラム
» 2012年05月23日 08時00分 UPDATE

新入社員が3年で辞める本当の理由 (1/2)

『若者はなぜ3年で辞めるのか? 』という本が話題となって久しい。すぐに辞めてしまう背景にはどんな理由があるのか、筆者の経験から考えてみた。

[葛西伸一,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:葛西伸一(かさい・しんいち)

大学卒業後、大手エレクトロニクス商社に勤務。その後、IT業界、映像コンテンツ業界と15年間の営業・企画・マネージャー等の経験を経て、 2007年4月に(株)メンター・クラフト設立。豪州ボンド大学大学院MBA(経営学修士)エグゼクティブ・コーチ(JIPCC認定)、日本コーチ協会正会員


 「せっかく高いコストをかけて入社した若手社員が、すぐに辞めてしまって困る」という話をよく耳にする。若手社員が短期間で会社を辞めてしまう背景にはさまざまな理由があり、マスコミなどでは「入社前と入社後のギャップに原因が」という記事をよく見かける。

 しかし、それは今に始まったことではない。私も1992年に新入社員として東証一部上場企業に入社した後は、新人研修で自衛隊へ連れて行かれ、入社前とのギャップをホフク前進しながら痛感したものだ(今となっては、あんなに記憶に残るすばらしい研修はなかったが)。

 では、実際にどんな理由が考えられるのだろうか? 1996年と2007年に2回転職した私の経験も含め、現代の若者が早期に辞めるに至った背景として3つの仮説を作ってみる。

 第1の仮説は「欧米文化の浸透による世間の変化」だ。日本人は欧米文化への憧れを抱いている点が多く、現在では欧米の食品、インテリア、スポーツ、書籍、メディアはもちろん、ビジネス界でも外資の参入は昔に比べて増加しているのは明らかだ。

 今では当然の知識となっているが、日本以外では転職は恥ずかしいことでない。転職はキャリアパスとして解釈されるようになり、日本文化自体が転職許容文化になってきている。つまり、世間が変化しているのだ。昔なら、「転職したら恥ずかしい」と考え、さらに周囲からは「根性無し」と思われる不安があった。それゆえ、両親、親戚、友達に対して後ろめたさがあり、なかなか転職には踏み切れなかった。

 しかし、今ではそのような感覚は昔に比べると希薄になっており、むしろ「良いキャリアになる」という風潮もあるのではないかと思う。

 第2の仮説は「転職の容易化」である。インターネットやメールの普及で、転職が容易になってきている。やろうと思えば、100通一斉に履歴書を送れる。昔は履歴書と言えば当然手書きで、1枚作成するのが大変で、1文字間違えれば、また1から書き直し。また、インターネットとPCの普及で、どの会社が中途採用を実施しているかの情報がすぐに手に入り、社風や条件なども一目で分かる。

 この環境の変化で、明らかに転職が以前と比べて容易になり、より希望した会社へ行ける確率も高くなっている。無論、転職した後にそれが成功と言える転職であったかは別の話ではあるが。

 そして最後の仮説は「上司のマインドが変化していること」だ。往々にして、「若者がすぐに辞めるのは、今の若者には根性がないからだ」という、感情的仮説を言いたがる管理職が多い。確かに前述の仮説の通り、さまざまな要因によって、若者自身が変化していることもあるだろう。

 しかし、実は上司自身も昔と変わっていることに気付いていない人が多い。「部下を飲みに誘って、最近の若手は付いてこない」と思った経験はないだろうか? 昔とは違う。今は部下と上司はパートナーの関係であり、ちゃんと飲む(飲めない部下であれば食事でも良い)環境を創る必要がある。

 それでも、「なんで上司がそんな気を使わなければならないんだ!」と思う方もいるだろう。しかし、これまでの仮説の通り、「時代と環境は変化している」という明確な答えが待っている。

 現在と比べ、昔の上司は愛社精神が強かったのかもしれない。愛社精神が強ければ、会社発展のために部下が嫌がろうが、強引に飲みに連れていった。しかし、高度経済成長期の集団主義から、バブル崩壊ごろから個人主義へ移行し、上司自身も愛社精神による部下教育より、自己保護による意識が働いているのではないだろうか。

 つまり、部下を飲みに誘って断られた後に寂しい気持ちになり、そこから「そこまでして、部下を教育するつもりはない」という割り切った気持ちにはなった経験はないだろうか。

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