杉山:石川県の金沢市に行ったとき、ビジネスホテルで9時間滞在プランというのがありました。夜9時にチェックインして、朝6時にチェックアウトすればネットカフェのような価格で泊まることができる。私は終電まで電車に乗っていて、夜が明ければ電車に乗りたいんですよ(笑)。このプランは今はもうないのですが、私のような人間にはものすごくありがたいですね。
ビジネスパーソンでもこのプランを利用したいという人が多いのではないでしょうか。出張して飲んで帰れば、ホテルのチェックインは遅くなる。次の日、朝早くから出る用事があれば、9時間プランで問題ないはず。このようにホテルって、ものすごく柔軟に対応していますよね。
大塚:ただ鉄道会社も、これからは運賃の一大革命が起きると思っています。Suica、PASMO、ICOCAなどIC乗車券が全国で使えるようになれば、運賃制度を見直すはず。今はJRの大都市の大手私鉄と競合する区間で割引されている特定区間運賃が設定されているなど、運賃制度がバラバラ。そこでJRグループは運賃制度の抜本的な改革を進めようとしています。
杉山:JR、変わりそうですか?
大塚:旗振り役を担っているのはJR東日本ですが、大変な作業のようですね。
杉山:JRは発足以来、消費税を上積みした以外では運賃改定を一度もやっていません。そろそろやったほうがいいですよ。今、日本経済はデフレ基調。インフレにもっていくためには、どこかで誰かが料金を上げて、所得も上げていく方向にカジを切らなければいけない。そこで社会的インフラの役目を果たしている鉄道に値上げをしてもらいたい、と思っています。
もちろん利用者のひとりとして、運賃が上がることはつらいこと。ただ国の経済を考えたときに、JRの運賃が何年間もずっと据え置きなのはいかがなものか。
例えば「青春18きっぷ」は一律1万1500円。でも大人2万円、学割1万5000円でもいいと思う。この価格でも、モトをとる人はたくさんいるわけなので。「学割」という制度をつくることで、本来の「若い人に旅の機会を」という主旨を取り戻したほうがいいのではないでしょうか。
大塚:そう思います。
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