“LCC攻勢”が強まれば、鉄道会社はどうなるのかどうなる? 鉄道の未来(2)(3/5 ページ)

» 2012年05月17日 08時02分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

大塚:確かに。航空会社の知人に聞くと、航空会社は搭乗率向上と収益拡大のために料金設定をこまめに変えていますよ。

杉山:料金体系を見直す際に、まずネックになるのが旅行会社。JRは団体旅行向けなどに安いチケットを販売しているので、この部分に手をつけなければいけない。業界からは大きな反発が予想されますが、JRには大なたを振るってほしいですね。

 「こだま」には「ぷらっとこだま」という格安きっぷがあります。これはJR東海ツアーズが企画していて「旅行商品」という扱いになるのですが、利用してみると驚きました。先日、関西方面に行く用事があったので、東京−新大阪間のチケットを買いに行ったのですが、残席は2席のみ。「こだま」って人気あるんだなあと思っていたのですが、車内はガラガラなんですよ。お客は2〜3列しか埋まっていない。しかも私の周りだけ。つまり、全員ぷらっとこだまを利用しているんですね(笑)。

 ぷらっとこだまを利用していない他の席はガラガラ。空席だらけでも、「こだま」を走らさなければいけない。これってもったいないですよね。飛行機にしても、新幹線にしても、座席というのはストックがきかない商品なので、空いていれば埋めてしまえばいい。LCCにしても、飛行機にしても、ツアーバスにしても、とにかくお客を乗っけてしまえば勝ち。いかに空席にしないで走らせることを考えなければいけないのに、JRはそのことをあまり考えていない。

大塚:その通りだと思いますね。私は航空、観光、ホテル業界の関係者に話を聞く機会も多いのですが、彼らは稼働率や乗車率をいかに上げていくか、ということをよく考えていますね。やはり厳しい競争にさらされているので、そうした意識が強いのでしょう。

 飛行機のチケットは早く予約するほど安く買え、直前になるほど高くなる。そうすることで、航空会社は利益率を高めている。一方、ビジネスホテルは逆で、当日に近づけば近づくほど安く泊まることができる。ちなみに私は出張をするとき、前日にビジネスホテルを予約しています。会社は実費精算で処理しているので、少しは貢献しているかと(笑)。

300系グリーン車。「ぷらっとこだま」ではプラス1500円(東京−新大阪間)でグリーン車に乗れる(撮影:杉山淳一)

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