テレビ局に責任はないのか コンプガチャ騒動を振り返る相場英雄の時事日想(2/3 ページ)

» 2012年05月17日 08時01分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

 ここまでコンプガチャが急速に利用者を増やした要因の1つに、大量に出稿されたテレビCMの影響があるとみるのは筆者だけではないはず。

 著名タレントをCMに起用して「無料」をうたい文句に利用者をゲームに誘導し、コンプガチャで収益を叩き出していたのが簡単な構図。

 一方、テレビ局側にはこんな声も確実に届いていたはずだ。

 国民生活センターによれば、オンラインゲームに関する相談件数は09年度に1437件にとどまっていたが、10年度は2043件、11年度は3439件に急増した。すべてがコンプガチャと断定するわけにはいかないが、ソーシャルゲームの利用者層の裾野が急速に広がったことと無縁ではないはずだ。

繰り返される“緩い審査”

 電通の調べによれば、テレビ向けの広告費は2004年当時約2兆円。これが昨年の場合1兆7200億円の規模に萎(しぼ)んだ。長引く不況の影響で企業の広告宣伝費が減少したほか、ネット広告などへのシフトが響いたのは明白。

媒体別の広告費(出典:電通)

 こうした環境下、成長著しいソーシャルゲームの広告はテレビ局側には魅力的に映ったはず。「消費者のクレームが増えていたのは承知していたが、営業上の理由でCMを流していた側面は否めない」(某民放関係者)。

 テレビや新聞の広告担当セクションには、広告主である企業を調査する部門がある。かつて問題を起こしたことがないか。あるいは法に抵触するような販売の手法をとっていないかなどを調べ、これをクリアしないとCMや広告面に出すことはできない。

 筆者の知る某新聞社の担当者は「広告の減少に歯止めがかからないため、脛に多少の傷があっても、刑事事件化していないようなケースでは掲載にゴーサインが出る場合が増えてきた」と明かす。

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