テレビ局に責任はないのか コンプガチャ騒動を振り返る相場英雄の時事日想(1/3 ページ)

» 2012年05月17日 08時01分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『震える牛』(小学館)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 ソーシャルゲーム企業が提供するゲームを巡り、先週来騒動が起こったのはご存じの通り。射幸性の高い「コンプガチャ」がそれだ。ゲーム大手各社はこれを徐々に減らしていくとの方針を明らかにしたことから、業界に対する風当たりは弱まりつつある。だが、一連の騒動の背景に、テレビ局の責任を問う声は少ないのではないか。過去、大量の広告出稿とともに利用者を増やし、あげく消費者に迷惑をかけた企業は多々ある。CMが入ればそれでよし、とのテレビ局の姿勢に疑問を投げかけてみる。

大量の広告出稿

ソーシャルゲーム業界はコンプガチャで莫大な収益を上げていた。写真はグリーの『探検ドリランド』

 ソーシャルゲーム業界の騒動をおさらいしてみよう。

 ゲーム上で戦闘力の高いアイテムやキャラクターを得るため、くじ引き的な要領で決められたアイテムをそろえるプロセスがコンプリートガチャ(コンプガチャ)だ。

 ゲーム会社が当たりを操作することが可能な上、少額決済が積み重なることで、知らずしらずのうちに思わぬ高額利用料になることが問題視されてきた。

 また、ソーシャルでつながる仕組みのため、他の利用者が得たアイテムなどがすぐに分かる仕組みが射幸心を煽る結果につながったようだ。

 消費者庁が景品表示法に抵触する公算大として、実態調査に乗り出すことも明らかになっている。

 筆者はゲームに疎い。ましてソーシャルゲームには全く関心がなかった。だが、中学校一年生の息子によれば、同級生や知り合いの中に月に数万円程度の「コンプガチャ」利用者がいて、家庭内で問題になっている向きがあると知らされ、驚いたことがある。

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