なぜ新幹線は飛行機に“勝てた”のか新連載・どうなる? 鉄道の未来(1)(6/7 ページ)

» 2012年05月16日 08時01分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

鉄道に関する海外のジョーク

大塚:私が欧州で乗った高速鉄道のICE、フランスのTGV、フィンランドのペンドリーノなどは迅速で定時運行に力を入れており、料金も比較的手頃です。しかし出張のときに鉄道を利用すると、会社の人からこのように言われるのですよ。「お前の趣味で鉄道に乗るのはいいが、飛行機のほうが確実だ。外国の鉄道は遅れるのが当たり前だからな」と。

フィンランド国鉄の高速鉄道「ペンドリーノ」(左)、「ペンドリーノ」の車内(右、撮影:大塚圭一郎)

 海外ではこんなジョークがあります。イタリア発でドイツへ行く列車に乗ったけれども、イタリアを出発した列車はとことん遅れて、結果的に3時間遅れとなった。その後、フランスを走りました。フランス人は自分のノルマさえ果たせばいいと考えているので、同じ時間で走りました。このため3時間遅れのままドイツに着いたら、ドイツ人はあわててスピードアップして、時間通りに着きました――と。

 ドイツの鉄道は比較的時間に正確ですね。またインターネットできっぷを購入すると安くなるので、時間に余裕がある人はぜひ鉄道を利用してほしいですね。

 また寝台列車もものすごくいいんですよ。私はドルトムントから首都のベルリンまで利用し、6台の簡易ベッドがある2等寝台の部屋に入ろうとしたら、車掌にきっぷを見せろと言われました。そして「君はベルリンで降りるんだな? じゃあ到着する前に、私が起こしに来るので、君はそこで寝てなさい」と言われたので、その寝台で寝ました。

 しばらくすると、本当に車掌が起こしに来たんですよ。ドンドンドンドンと扉を叩くので少し乱暴ですが……(笑)。日本の鉄道会社も、このようなきめ細かいサービスをやってほしいですよね。

杉山:昔はやっていたんですよ。日本の鉄道会社も。私が数年前に寝台特急「出雲」に乗った時は、午前3時半頃到着の京都で降りる人が相席でした。ちゃんと車掌さんが起こしに来ていたようです。ただし、ドンドンドンドンと荒っぽくはありませんが(笑)。

大塚:ハハハ。

杉山:昭和中期の寝台特急全盛時代には、1つの車両に1人のボーイがいました。そのボーイがお客さんをきちんと管理していた時代があったんですよ。しかし合理化・合理化で、そうしたボーイはいなくなり、寝台列車もなくなっていきました。なにをすれば合理化なのか。鉄道会社は勘違いしているところがあるのかもしれません。

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