コラム
» 2012年05月11日 08時02分 UPDATE

杉山淳一の時事日想:リニアの足を引っ張っているのは、誰なのか? (1/4)

JR東海がリニアを語ると株価が落ちる。当初は持ち出しばかりで、回収が遠い先の話だからだ。これは現在の株式市場の参加者に問題があり、日本経済逼塞の原因を露呈している。長期プロジェクトを敢行する企業の株は誰が購入し、保持すべきだろうか。

[杉山淳一,Business Media 誠]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。


 前回はJR東海がリニア中央新幹線を推し進める理由と、それが投資家に歓迎されないという実情を紹介した。リニアに関して株価が下がった時の報道を抽出すると次のようになる。★は特に株価を下げた報道だ。

年月日 報道内容 株価を下げた
2006年6月 リニアモーターカーの実験開始から10年。全長約40キロの実験線を完成させるため大規模な投資を行うと表明
2007年3月 今後20年でリニアモーターカーを自主的に建設すると表明
2007年4月 リニア新幹線の開業目標を2025年と社長が発言
2007年8月 事業予算5兆円と発言
2007年11月 南アルプストンネルの地質調査に着手
2007年10月 予算は4兆円から6兆円と試算。JR東海の投資力で実現可能
2007年12月 リニア新幹線の完全自己負担を正式に決定
2008年10月 名古屋−大阪間も自己資金で建設したい意向を示す
2009年3月 JR東海社長が講演。14−16両編成で定員は約1000人。1時間あたり片道10本程度の運行が可能
2009年6月 3ルートを従来の新幹線で建設した場合と合わせた見積を発表。東京−名古屋間はリニア南アルプスルートで40分
2009年9月 東京−大阪までの工事費が7兆円〜8兆円になる見通し
2010年4月 リニア中央新幹線の開業時期を延期。リーマンショック以来の不景気と東海道新幹線の収益減少の影響
2010年4月 名古屋開業は2年遅れ。大阪開業は予定通り2045年の見通し
2010年8月 リニア中央新幹線の起点を品川駅にすると発表。東京駅地下は混雑しており湧水の危険も
2010年10月 交通政策審議会は中央リニア新幹線について「直線ルートの費用対効果が最大」との見解。事実上の南アルプス直線ルート決定
2011年5月 国土交通大臣は全幹法に基き中央新幹線の計画を決定。JR東海に対して建設を指示
2011年11月 JR東海は、リニア新幹線の中間駅を全額負担すると発表。早期着工のため
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