キャリア・ポートレート コンサルティング代表。企業・団体の従業員・職員を対象に「プロフェッショナルシップ研修」(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)を行う。「キャリアの自画像(ポートレート)」を描くマネジメントツールや「レゴブロック」を用いたゲーム研修、就労観の傾向性診断「キャリアMQ」をコア商品とする。プロ論・キャリア論を教えるのではなく、「働くこと・仕事の本質」を理解させ、腹底にジーンと効くプログラムを志向している。
私はかつて勤めた出版社で、デザイン雑誌の編集をやっていたころがあります。中でも、伝統工芸家や職人さんの取材はとても面白かったものです。
取材時に私が毎回、目を引かれたのは、彼らの手と道具です。長年の間、力と根気を入れて使った手や指は、道具に沿うように曲がってしまいます。また、道具も、彼らの指の形に合うようにすり減って変形してしまいます。時が経つにつれ、互いが一体感を得るように馴染みあった手と道具は、それだけで味わい深い誌面用の絵(写真)になります。
真新しい道具が手に馴染まず、なにか違和感がありながらも、使い込んでいくうちに手に馴染んでいく、もしくは手が道具に馴染んでいくという関係は、職と自分との関係にも当てはまります。
つまり、自分が出会う雇用組織・職・仕事で、即座に自分に100%フィットするものなどありえない。仕事内容が期待と違っていた、人間関係が予想以上に難しい、自分の能力とのマッチング具合が良くないなど、どこかしらに違和感は生じるものです。
ただ、そうした時に職業人としての自分がやらねばならない対応は、自分の行動傾向をその職・仕事に合うように少し変えてやる、もしくは自分の能力を継ぎ足したり、改善したりすることです。また、それと同時に、職・仕事環境を自分向きに変えてやる、さらにはささいな違和感を乗り越えられるよう雇用組織との間で大きな目的を共有するということも必要です。
ピーター・ドラッカーもこう言っています。
「最初の仕事はくじ引きである。最初から適した仕事につく確率は高くない。得るべきところを知り、向いた仕事に移れるようになるには数年を要する」 (『仕事の哲学』より)
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