コラム
» 2012年05月08日 08時02分 UPDATE

窪田順生の時事日想:「関越道バス事故」と「中国の観光バス事故」の共通点 (1/3)

46人もの死傷者をだした関越自動車道のツアーバス事故。次々と驚くような事実が明らかになっているが、筆者はこの事故と、1週間前に起きた事故の共通点に注目している。

[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


yd_bus2.jpg 中国国内ではバス事故が多発している(写真と本文は関係ありません)

 連休中に日本列島を震撼(しんかん)させた関越自動車道ツアーバス事故。各紙の編集委員や専門家たちは、再発防止のためにさまざまな提言をおこなっている。

 ドライバーひとりで運転させるってのはムチャだとか、「ナンバープレート貸し」が横行しているせいだとか、ガードレールと防護柵の隙間が被害を拡大させたので、今すぐに全国の高速を整備しろとか……。中には、小泉改革時代の「規制緩和」が諸悪の根源だから、ビシビシ規制を強めろという方まで現れた。

 このような悲劇を繰り返さぬためにも、これらの意見を徹底的に検証してもらいたいところだが、個人的には再発防止というのなら、ぜひマスコミに調べてもらいたいケースがある。

 それは、今回の事故の1週間前、中国で起きた観光バスの事故だ。

 4月22日午前9時ごろ、中国江蘇省常熟の高速道路で観光バスが中央分地帯を乗り越えて、対向車線を走っていたトラックと正面衝突した。日本の悲劇と同様で、こちらの被害もかなり甚大で、13人が亡くなり、21人負傷うち4人は重傷だった。

「中国人観光客」の増加と「河野交通」

 ご存じの方も多いと思うが、中国国内では今、このようなバス事故が多発している。外務省の在留邦人向けの安全の手引きで、「全国的に長距離バスや高速道路上での死傷事故が多発しています」と注意喚起しなくてはいけないほどで、その背景には、経済成長で中国人観光客が急増していることがある。

 「中国人観光客」ときいて連想されるのは、関越自動車道ツアーバス事故を起こした河野化山(こうの・かざん)容疑者だ。

  すでに報道されているとおり、彼は中国出身で1994年(平成6年)に帰化したものの、日本語があまり得意ではなく、トラックの運転手をした後、自らバスを数台所有し、「河野交通」を名乗り中国人向けのツアーを運行していた。

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