コントロールできるものと、できないもの――それが部下育成部下育成の教科書(6)(4/4 ページ)

» 2012年05月03日 00時00分 公開
[Business Media 誠]
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コントロールできるものと、そうでないものがある

 マネジャーからすると、こういった周囲の関わりには、コントロールできるものとそうでないものがあります。コントロールできるものとは、すなわちあなた自身による、上司から部下への関わりです。部下の動きを見ながら、意図を持って関わることができる、コントロールできるものです。また、若手社員に面倒見役のような形で中堅社員をつけているような場合も、中堅社員を通じて間接的に指導できるわけですから、これも比較的コントロールできうるものと考えられるでしょう。

 一方、他部署や協力会社、顧客からの関わりになるほど、コントロールできないものになってきます。しかし、よくつき合いのある部署や、懇意にしているお客様に対しては、あらかじめ上司であるあなたから「彼はこういうところがあるから、もしそんな場面があったら率直に言ってやってください」と伝えておくことで、多少はコントロール可能な領域に入ってくるものかもしれません。

 ここで伝えたいことは、コントロールできるあなたから部下への関わりは意識的・意図的に行おうということと、コントロール可能な領域をできるだけ広げ、よりたくさんの人からトランジションの促進につながるような関わりが得られるようにしておこうということです。いろいろな人から、できるだけたくさんの関わりを受けることで、トランジションが進む確率を上げ、かかる時間も短くするのです。

 逆に言うと、そのような状況が作れなければ、マネジャーであるあなたがすべて一人で関わって指導するか、放ったらかしでそのうち育ってもらうのを待つか、どちらかになってしまいます。

 詳しくは書籍『部下育成の教科書』の後半で述べますが、職場では部下のメンバー同士がお互いの成長に向けて関わり合う、指導・育成のネットワークを作りたいものです。あなたからの関わりだけでなく、職場でより多くの人から関わりを受けられる状況を作ることで、あなたの部下育成のための負担も軽減され、部下もより早く効果的にトランジションを果たすことができるのです。

続く

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