コントロールできるものと、できないもの――それが部下育成部下育成の教科書(6)(2/4 ページ)

» 2012年05月03日 00時00分 公開
[Business Media 誠]

育成のポイント

 具体的には、次のような声かけが有効です。

  • トランジションに向き合わせる

 「忙しいのは分かるが、君がちゃんと後輩に指示を出したり仕事の進み具合を気にかけてあげないと、彼はまだ自分ではそこまで仕事を回せないぞ。そこをもっとちゃんとやらなきゃ、結果的に自分も苦労するんだよ」など。

 再三述べてきたように、段階の転換を図ることは容易ではなく、部下はついこれまでのやり方を続けようとするものです。無自覚にこれまでのやり方を続けようとする部下もいれば、転換が難しいことを知ってあきらめようとする部下もいるでしょう。

 このようなとき、逃がさずトランジションに向き合わせるのです。「今後はそれではいけない」ということや、「どのように変わってほしいか」を告げる、「思い切ってチャレンジしてほしい」と背中を押すなど、注意や要望をする関わりがこれに当たるでしょう。

  • チャレンジへの安心感を持たせる

 「君が担当する仕事が難しいのは分かっている。だからこそ思い切ってやってみなさい。私も先輩の○○も、困ったときには協力するから」など。

 チャレンジを伴う体験では失敗することへの不安がありますし、これまでのやり方を変えることに抵抗感があるものです。そのような中でもがんばろうと思えるよう、安心感や信頼関係を築くのです。「今の状況はどうだ」「何かあれば相談に乗るよ」と声をかける、「(まだうまくいってはいなくとも)やろうとしている方向性はそれで合っている」など、日頃から声をかけ相談に乗る、ほめる・認めるといった関わりがこれに当たるでしょう。

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