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» 2012年05月03日 00時00分 UPDATE

中村伊知哉のもういっぺんイってみな!:ワークショップを日本中に、デジタルキッズに活躍の場を (1/2)

日本の子どもにアニメを作らせると、たいていギャグと戦いの応酬となるが、うまい。さらに、創造力、表現力を伸ばすにはどうすればいいだろうか?

[中村伊知哉,@IT]

中村伊知哉(なかむら・いちや)氏のプロフィール:

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慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。京都大学経済学部卒業。慶應義塾大学博士(政策・メディア)。デジタル教科書教材協議会副会長、 デジタルサイネージコンソーシアム理事長、NPO法人CANVAS副理事長、融合研究所代表理事などを兼務。内閣官房知的財産戦略本部、総務省、文部科学省、経済産業省などの委員を務める。1984年、ロックバンド「少年ナイフ」のディレクターを経て郵政省入省。通信・放送融合政策、インターネット政策などを担当。1988年MITメディアラボ客員教授。2002年スタンフォード日本センター研究所長を経て現職。

著書に『デジタル教科書革命』(ソフトバンククリエイティブ、共著)、『デジタルサイネージ戦略』(アスキー・メディアワークス、共著)、『デジタルサイネージ革命』(朝日新聞出版、共著)など。

中村伊知哉氏のWebサイト:http://www.ichiya.org/jpn/、Twitterアカウント:@ichiyanakamura


※編集部注:本記事は2012年4月12日に@IT「中村伊知哉のもういっぺんイってみな!」で掲載された記事を転載したものです。
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 色鮮やかなまったく正体不明のキャラクターたちがスクリーンに登場した。

 「バートールー、ピヨピヨパーンチ!、カミナリ落としー!、ガーッ!、ハッハッハー、ボカーン、ドワー、ドワー、ドワドワドワー!完」

 戦って、戦って、怒濤のように、どうにかなって、終わってしまった。

 子どもたちが作ったデジタルアニメだ。NPO「CANVAS」、慶應義塾大学、フジテレビが共同で実施したフラッシュアニメ作りワークショップの1コマだ。プロのトップ・クリエイターたちが子どもたちと格闘した涙と汗の作品は、いつもこんな感じになる。これぞニッポン。

 日本の子どもにアニメを作らせると、たいていギャグと戦いの応酬となり、しばしばウンコも登場し、大学キャンパスで開かれるワークショップに送り出した親はその結果に眉をひそめたりするのだが、しかし、日本の子どもたちは、うまい。

 僕のグループはこういう活動を世界各地で、先進国から途上国まで実施してきているが、キャラクター設定、絵コンテ、ストーリー、構図、セリフ、編集など、日本はどれもぴかイチ。普段親にしかられながらゲームやアニメに没頭している力が発揮される。

 今から10年前、2002年に設立したNPO「CANVAS」は、慶應義塾大学とも連携し、デジタル時代の子どもに創造の場、表現の場を提供し続けている。これまで1750件のワークショップを20万人の子どもたちに与えてきた。

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 例えば、「ガキネマ」。ネット上で映像を編集できるシステムを利用し、子どもたちがオリジナルの映像作品を作る。PCの音楽編集ソフトを使って、パブリックドメインになっている楽曲をリミックスした音楽作品を制作する「おとラボ」もある。ネット上の素材を編集し、新しいコンテンツを制作する。デジタル時代の情報リテラシーを取得すると同時に、知的財産・著作権についても経験的に学ぶ。

 「おとコトひろば」は、作詞した作品、作曲した楽曲をネット上で共有し、互いにマッチングしたり、その曲を演奏したりするバーチャルなコミュニティだ。CANVASが数年前に場を提供したところ、小中高生の音楽創作コミュニティとして自律的に成長している。

ah_naka2.jpg 旧「おとコトひろば」からリニューアルされた

 「キッズ地域情報発信基地局」。自分たちの住む地域の情報をブログや新聞などのメディアを駆使して発信していく。街に出る子どもたちは、デジカメやケータイを持ったり、紙とペンだったりする。街のおじいさんやお姉さんに直接インタビューしたり、ネットで調べ物をしたりする。デジタルとアナログ、リアルとバーチャルの組み合わせ。どれも大切。

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