スマートフォン広告市場は健全に成長するか(2/4 ページ)

» 2012年04月27日 18時00分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

アドネットワークの課題とは

 アドネットワークとは、インターネット広告の広告配信手法の1つで、広告媒体となる複数のWebサイトを集め、そこへ一事業者のアドサーバーから広告を配信するサービスを指す。モバイル広告/スマートフォン広告/ウェブ広告業界それぞれに複数のアドネットワーク事業会社が存在する。

 アドネットワークの利点は、規模の小さいWebサイトにも広告を配信できる点にある。小規模なWebサイトでも、数を集めれば、たくさんの広告枠になるためだ。また、Webサイト側から見れば、自分で広告枠を販売しなくても、アドネットワークに参加することでサイトをマネタイズできる。例えば、個人で運営しているWebサイトや、Webサービスなどでも、アドネットワークに参加して決められた広告枠を設置すれば、広告枠が表示された回数やクリックされた回数に応じて収入を得ることができる。

AMoAdの広告サイズ。現在AMoAdでは約2100のWebサイト/Webサービスに設置された広告枠へ、アドサーバーから広告を配信している

 これに対するものが、広告主が直接Webサイトの広告枠を買い、出稿する「純広告(純広)」である。いわゆるナショナルクライアント(全国規模のメーカーやチェーンなど)は、大手広告代理店を通じて指定した媒体の純広告を買うことが多いが、この場合指定する媒体は、どうしてもYahoo!やmixiといった大規模なサイトが中心になる。このため、専任営業を持たない小規模なサイトはアドネットワークに頼らざるを得ない。

 大規模サイトがアドネットワークを使う場合は「表示回数/クリック回数を保証してくれるから」「純広告として売り切れなかった広告枠の余り在庫をアドネットワークに回すため」という理由であることが多い。こうした結果、アドネットワークは純広告に比べるとどうしても“下に見られがち”という事態が起こり、単価も安くなっていく。

 同じスマートフォンの広告枠でも、純広告に比べるとアドネットワークの広告枠は価値が低い……この課題を改善するためにAMoAdが先日発表したのが、6月から展開予定の新しい広告商品「AMoAd Brands(ブランズ)」「AMoAd Genius(ジーニアス)」である。

ブランズとジーニアス

 ブランズとは、企業や商品の認知拡大を指標とするブランディング広告に特価した広告配信ソリューション。「ブランズは、いい枠を集めて、いいメディアを高単価で売ることが狙いです。これまで純広告が担ってきた部分ですが、そこをアドネットワークでもできるようにしたいと考えています。これまでは(広告)代理店が別々の媒体に手作業で(純)広告を入れ、レポートを作っていたわけですが、これだとどうしても大きいサイトにしか出せなかった。ブランズでは、(アドネットワークに参加している複数のサイトへの)配信管理も1つで済みますし、レポートも一元化できます。ユーザーの質はいいのに規模が小さいようなメディアにも、ブランディング広告を配信できるようにしたいのです」

「AMoAd Brands」のイメージ。300×250ピクセルや320×100ピクセルなど大きめサイズのバナーや、サイズが大きくなるエキスパンドなどの表現ができる、ブランディング広告向けの商品

 一方ジーニアスは、会員獲得や商品購入など、成果が求められるレスポンス広告に特化した広告配信ソリューションである。「ジーニアスは、広告主にとっての効果が上がるよう、さまざまなアドテクノロジーをチューニングして『見られる広告』を目指すものです。例えば出す広告を多様化したり、行動ターゲティングで見る人にマッチする広告を出すようにしたりといった部分ですね」

「AMoAd Genius」のイメージ。通常のバナーと同サイズだが、配信ロジックのチューニングにより、いかに「見られる広告」にするかに注力するという

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