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» 2012年04月27日 18時00分 UPDATE

スマートフォン広告市場は健全に成長するか (1/4)

モバイル広告とウェブ広告が中心だったインターネット広告市場で、昨今急速に市場規模を拡大しているのがスマートフォン広告市場だ。スマートフォン広告は今後どうなっていくのか? AMoAdの小池政秀社長に話を聞いた。

[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 突然だが、この記事を読んでいるあなたに質問したい。インターネットにある各種ニュースサイトの記事がなぜ無料で読めるのかご存じだろうか?

 答えは「読者には無料で記事を提供するが、読者に見せたい広告を企業から集めているから」。この記事の右や上にも、正方形や長方形のバナー広告が表示されているはずだ。誠もITmediaもそうだが、インターネット上で無料で記事を提供している商用Webサイトはほぼすべて、読者から購読料を集めずに、収入のほとんどを広告で得ていると思っていい。

 これまでのインターネット広告といえば、ケータイ用サイトに表示するモバイル広告と、PC用サイトに表示するウェブ広告の2種類が多くを占めていた※。しかし最近の急速なスマートフォンの普及によって、急激に市場規模を拡大しているのがスマートフォン広告である。

※ケータイサイト、PCサイトに表示される広告の呼び名は複数あるが、ここでは電通が毎年発表している『日本の広告費』の表記に準じて「モバイル広告」「ウェブ広告」とする。

 スマートフォン広告を扱うアドネットワーク(詳しくは後述)のプラットフォームは複数あるが、現在月間150億インプレッションと広告在庫が最大なのが、スマートフォン向けアドネットワークとしては最後発のAMoAdである。AMoAdは、当初Amebaの各サービスにアドネットワークを配信する「AmeAd」としてスタートした。2011年4月からは、サイバーエージェントとDeNAの合弁会社「AMoAd」としてスマートフォンアドネットワーク事業に特化した会社になり、現在はAmebaやMobage(モバゲー)の提供する各種サービスのほか、約2100メディアのスマートフォン用サイトに広告を配信している。

 本記事ではインターネット広告の課題やスマートフォン広告の現状、そして今後の展望について、AMoAdの小池政秀社長に聞いていく。

インターネット広告市場の現状

ay_amo02.jpg R25のケータイ向けサイトは2009年7月にいったん終了した後、Yahoo! JAPANと提携して12月に再開した

 日本の広告市場では、これまで長い間、テレビ・新聞・雑誌・ラジオのいわゆる「4マス媒体」が中心だった。しかし4マス媒体の広告費は、7年連続で減少している(2011年調査、参照リンク)。その一方で伸びているのがインターネット広告だ。2009年には初めてインターネットが新聞の広告費を抜き(参照記事)、その後も成長を続けている。

 しかし、インターネット広告すべてが順調なわけではない。それを象徴するようなできごとがある。

 もう3年前の話だが、リクルートが月間1億3000万PVと当時非常に好調だったケータイサイト「R25式モバイル」を終了するというニュースがあった(参照リンク)。サイト終了の理由について「モバイルよりPCサイトに出稿を希望する広告主が多いため」とリクルートはコメントしているが、本当の理由はもう1つ「どんなにケータイサイトが好調でも、モバイル広告では利益を出せなかったから」だと思われる。

モバイル広告の値段が安すぎる理由

 冒頭に書いたとおり、読者がたくさんいても広告主がいなければ商用サイトは成り立たない。なぜ、R25式モバイルほど好調なケータイサイトでも、閉鎖してしまうような事態になるのか。その理由として、ケータイサイト運営を支えるモバイル広告には、大きな課題が2つあることが挙げられる。1つはリクルートが説明している通り、モバイル広告はウェブ広告に比べ広告主を集めにくいこと。そしてもう1つの理由は、モバイル広告は「質」と「単価」が低いということだ。

 見たことがある人も多いと思うが、ケータイサイトに表示される広告といえば、昔は消費者金融、今は18禁のアダルトコミックのバナー広告が定番だ。もちろん中には健全な広告もあるのだが、こういった広告がほとんどを占める広告枠に、自社の広告を出稿したいと考える企業はやはり少ない。ケータイサイトは一般にPCサイトよりもPVを増やしやすく、出稿主は少ないのに広告在庫はたくさんある状態なので、自然と広告の価格も低い基準で推移することになる。

 こういった事情があるため、ウェブ広告に比べると、現状、モバイル広告はかなり単価が安い。感覚としては10分の1かそれ以下だ。「あくまでこれは目安の価格ですが、例えばAmebaの中でクリック単価の最低価格を比較した場合、モバイル広告は10円未満、ウェブ広告は80〜100円というところです」(小池氏)

 スマートフォン広告の価格は、モバイル広告とウェブ広告の間、ただしモバイル広告寄りとなっている。「スマートフォン広告の価格(クリック単価)を見ると、AMoAdでは18〜19円くらいの価格が出ていますが、他社では12円程度が多いと思います。10円を切っているところも少なくありません」(小池氏)

広告の種類 端末 クリック単価(目安)
モバイル広告 ケータイ電話 9〜10円
スマートフォン広告 スマートフォン 15〜19円
ウェブ広告 PC 80〜100円
Amebaの中で比較した平均的なクリック単価の例。これはあくまで目安で、実際には同じサイトの中でも出す場所などによって値段はさまざまだ

 AMoAdではこのように他社よりも高い広告価格を実現しているが、小池氏は「(スマートフォン広告の)価値をもっと上げて、PCの単価にできるだけ近づけていきたい。そのために新しい技術を使い、新しい商品を作っている」と話す。

 どのようにスマートフォン広告の価格を上げるのか? AMoAdで取り組んでいるのは主に、アドネットワークの課題解決とそのための新商品の開発である。

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