コラム
» 2012年04月27日 08時00分 UPDATE

「人が育たない」ではなく「人を育てられない」のではないか (1/3)

「人が育たない」というのは、突然発生した問題ではなくこれまでのマネジメントの結果と捕らえるべきで、組織のマネジャーは自己に矢印を向けるべきです。マネジャー自身が考え実行し、今よりもっと部下や後輩の育成のために時間を使うことが本質的に重要です。

[野崎吉弘,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:野崎吉弘(のざき・よしひろ)

株式会社アイ・ティ・イノベーション シニアコンサルタント。システム開発方法論の開発やエンジニアリングの視点から、プロジェクトの成功に貢献するコンサルティングなどに取り組んでいる。


 私は職業柄、ユーザー企業の情報システム部門や情報システム子会社、SI企業やソフトハウスなど情報システムの開発にかかわる組織の長やマネジャーの方々とお話をする機会が多いです。最近これらの方々が一様に口にされるのが、「若手が育たない」「プロジェクトを任せられる人材がいない」「どうやって人を育てたらいいか?」など、人の育成に関する悩みです。

 学生の学力低下や若手の帰属意識、モチベーションの低下などがメディアでも取り上げられ問題視されていますが、私はまずこの「育たない」という表現に対して違和感を覚えます。

 小学生の時、休み時間に友達とふざけて教室のガラスを割ってしまった時のこと。職員室にいる担任の先生のところへ行って「先生、ガラスが割れました」と報告すると、先生は「ガラスはひとりでに割れたりしない。『ガラスが割れた』のではなくて『ガラスを割りました』と言いなさい」としかられたことがあります。

 それと同じように、本来マネジャーの口からは発せられてしかるべき言葉は、「育たなかった」のではなく「育てられなかった」ではないかと思うのですが、「若手を育てられなかった、一体我々の何が間違っていたのだろう?」という趣旨やニュアンスの言葉を口にされる方は今のところ一人もいらっしゃいません。

 私はマネジメントの最大のピットフォールは、自己に対して矢印を向けなければならないことに気付かずに、他者に対して矢印を向け続けてしまうことではないかと思います。また、育成は促成栽培のように「期の初めに教育を実施したら期の終わりには成長した人材が収穫できる」という単純なものではありませんので、「人が育たない」というのは、最近突然発生した問題ではなくこれまで積み重ねてきたマネジメントの結果ととらえるべきでしょう。

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