つまり、「主体性」「コミュニケーション能力」は“新人だけ”に求められることでもないし、新人に求めることを正確に表しているわけでもない。では、「主体性」「コミュニケーション能力」「実行力」「遂行力」「働きかけ」と回答した人たちの真意は何だろうか。私は“気配り”“気が利く”“気働き”のようなものではないかと思う。
主体性といっても、「確固たる意思を持って判断・行動せよ」と求めているのではなく、事の成り行きに気を配って、状況に応じて気の利いた行動をしてねといった話だろう。コミュニケーション能力も、豊かな表現力や説得力あるプレゼンテーション、的確な質問力や把握力を求めているのではなく、「関係者に気配りを欠かさず、必要な情報を伝えてね」とか、「場の様子や各々の立場・心情をくみ取って機転のきいた発言をしてね」といった意味だと思う。「実行力」「遂行力」「働きかけ」は、すぐに取り組む、ちょっと工夫してみる、途中で相談する、指示より早く仕上げる、そんな気働きの行動イメージではないだろうか。
気配りができる、気の利いた言動ができる、気働きがある、などと言うと、小ざかしく組織を立ち回るための処世術のような感じがしないでもないが、どのような仕事においても非常に大切で、もっと言うとハイパフォーマーが共通して持っている、観察力と洞察力と実行力の組み合わせで実現する立派な素養、スキルだ。
商品知識がないモノでも成果を出せる営業マン、どんな組織でも人心を掌握できるマネジャー、高い顧客満足度を常に獲得している人、豊富な人脈と情報ネットワークを持っている人、社内からの信頼が厚く好感度も高い人、これらの人たちはみんな、気配り上手で気の利いた言動ができるはず。そのようなイメージやそうなってほしい期待が、「主体性」「コミュニケーション能力」といった回答に表れているのではないかと思う。(川口雅裕)
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